田舎でのんびりテレワークなんて甘い考え? 「東京脱出」トレンドに見る現代人の損得思考

『東京新聞』が4月19日に報じた「『東京脱出』した人はどこへ? 23区からの転出者が増えた市区町、調べました」の記事が反響を呼んでいます。その背景と今後について、フリーライターの本間めい子さんが解説します。


意外と首都圏から離れていない転出者

『東京新聞』の記事が反響を呼んでいるのは、23区を出ていった人が地方ではなく、実は首都圏から離れていないことを明らかにしたからです。

2020年、東京23区からの転出者が増えた市区町トップ10(画像:東京新聞のデータを基にULM編集部で作成)

 この記事に掲載されたランキングで、唯一首都圏でないのは長野県軽井沢町(22位)で、茨城県つくば市(9位)と栃木県宇都宮市(21位)を除くと、東京・埼玉・千葉・神奈川の一都三県で占められています。

 この記事からわかるのは、ランキング上位のエリアに転入した転出者は、かなり思い切った選択をしていることです。

トップの藤沢市の実情とは

 その証左が、トップに輝いた神奈川県藤沢市の実情です。

『東京新聞』が調査した「東京23区からの転出者が増えた市区町」で1位にランクインした神奈川県藤沢市(画像:(C)Google)

 藤沢市は海に近い、風光明媚(めいび)かつ、商業施設も整備されているエリアとして知られています。ただし、これは「JR藤沢駅前に住めれば」という条件付きです。

 JR藤沢駅や辻堂駅、茅ヶ崎駅周辺は商業施設が充実しており、住むにはとても便利なエリアです。ところがその利便性ゆえに、住宅価格は新型コロナウイルスの感染拡大以前より高値で安定しています。

 そのため、マンションや一戸建てを借りるにしても買うにしても、JR藤沢駅から少し離れてバスや江ノ島電鉄を使うエリアになります。

 観光客が減っているため、江ノ島電鉄でのんびり移動できると思いがちですが、ラッシュ時の混雑ぶりはなかなかのものです。バスを使うエリアの幹線道路も渋滞するルートが少なくありません。

 もともと藤沢市や茅ヶ崎市あたりの転入者は

「東海道線は混雑するが、家は広いし、休日は海で遊べる」

と通勤の苦痛を引き換えにしても、週末が楽しめると「覚悟を決めた人」が大半でした。テレワークの普及で通勤の苦痛は緩和されましたが、それでもラッシュ時の混雑は避けられません。

 つまり、このエリアへの転入は

「東京に出掛けることは年に数回程度。これから先もずっと自宅でテレワークをする」

という見通しと覚悟を持たなければならないのです。

改めて考えるべき23区の利便性


【地図】東京23区からの転出者が増えた市区町

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