「民衆が考えることを放棄する危うさ」 紀里谷和明監督の最新作がえぐり出す現代日本への警鐘とは【7000字インタビュー後編】

2021年4月3日

ライフ
ULM編集部

『CASSHERN』や『GOEMON』などの映画作品で知られる紀里谷和明監督が、最新作『新世界』の予告映像を発表しました。この作品に込めた思いとは? 単独インタビューの内容を2回に分けて紹介します。後編は、現代日本の悪しき「思考停止」について。


搾取される民衆は「被害者」か

「戦争や災害、何か災いが起きたとき、民衆がいともたやすく自分自身で考えることを放棄してしまう状況は、過去にも幾度となく繰り返されてきました。それによって苦しむのは自分たち自身であるにもかかわらず、です」

 情報通信技術(ICT)が発達した2021年は、知ろうとさえすれば誰もが知ることのできる時代。しかし、あるいはだからこそ、多くの人はいっそう自身の思考を停止させてしまうという矛盾を現代社会は抱えています。

 いまの状況がこのまま深化していったとき、「20年後」の世界は果たしてどうなってしまうのか。そんな監督自身の切迫した危機感と警鐘が『新世界』には描かれています。

 多くの人間が人間性を放棄し、力の支配にただ身をゆだねてしまう作中世界には、ひとつのアンチテーゼが示されます。誰からも支配されない“新世界”を創るために支配者勢力らと対峙する織田信長が、武田信玄の配下に甘んじる徳川家康に対して向ける言葉です。

「檻(おり)に入ってエサをもらい続けるのか、地平線を目指して走り続けるのか。お前はどっちを選ぶ?」

紀里谷監督の最新作『新世界』の場面カット(画像:KIRIYA PICTURES)

 お前はどっちを選ぶ――。その問いかけはほかでもない、これまで「何度でもだまされ」続けてきた私たち自身に向けられたものでもあります。

「信玄というキャラクターは、国をもコントールする力を持ったいわゆる悪役ですが、突きつめれば支配システムの象徴でしかない。本作の“本当の敵”は、民衆自身です。本来一番大きな力を持っているはずの民衆が考えることを放棄してしまうことで、ごく一部の小さな勢力に自分たちの力を利用されてしまう構図を描いていくつもりです」

 だまされたと嘆き、搾取される民衆は、決して単なる“被害者”ではないのです。

システムに牛耳られている東京


【画像】最新作『新世界』の場面カット

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