就活中のある女子大生が、対面よりウェブ面接を「絶対有利」と感じた理由

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就活中のある女子大生が、対面よりウェブ面接を「絶対有利」と感じた理由

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2020年からのコロナ禍で、学生たちの就職活動シーンも大きな変化を遂げました。大学へは行かれず、企業の採用面接もオンライン化。異例ずくめのコロナ禍就活を、学生たちはどのように乗り切ったのでしょうか。東京の女子大生が自身の体験を語りました。

コロナ禍、大卒就職内定率は10年ぶりの悪化

 厚生労働省と文部科学省が2021年3月19日に発表した今春卒業する大学生の就職内定率は、前年同期を2.8ポイント下回る89.5%。新型コロナウイルス感染拡大による業績悪化を受けて採用を控える企業があったことなどから、2011年以来10年ぶりの下落となりました。

コロナ禍で一斉に導入された「ウェブ面接」、学生側にとってのリアルなメリットとは?(画像:写真AC)



 コロナ禍では就活関連のイベントが相次いで中止となったほか、面接をオンラインで実施する企業も多数。異例ずくめの就職活動で、大学生たちはどのような経験をし、どのような気付きを得たのでしょうか。

 この春の就職を目前に控えた東京の女子大生が、自身の体験から「コロナ禍就活」を振り返りました。外出自粛で自宅にこもる日々が続いた中で、友人たちと協力して就活対策を乗り切る方法とは? そして、面接は対面よりオンラインの方が「良かった」と語る理由とは――?

「五輪があるから就活もラク」のはずだった

 東京都内の女子大生らでつくる若者トレンドのコンサルティングチーム、ネオレア(渋谷区恵比寿)が配信するネットラジオ放送「若者ラジオ」。

 21年3月の放送回には、都内の私立大学を卒業したばかりの ありさ さんが出演。番組当初からのレギュラーメンバー朝比奈ひかりさん(22歳)、赤峰さえさん(20歳)を聞き役に、自身の就活体験について語りました。

 ありささんたちの学年は、大学に入学した当時「(2020年開催予定だった)東京オリンピックもあるし、景気が良くなって就活は苦労しないのでは」と言われていた世代です。しかし、折しも2020年春からのコロナ禍によって状況は激変。

「受ける会社も途中で採用が無くなったり、友達も最終面接まで行って急きょ採用中止になったり。結果的に、けっこう苦労した学年だったと思う」

と総括しました。

ES作業、友人たちと電話をつなげっぱなしに

 大学での授業も見合わせとなり、学内の友人たちと顔を合わせる機会もほぼ皆無に。

 以前なら授業時間の前後やランチで集まって就活に関する情報交換をすることもできましたが、その貴重な機会も無くなりました。ありささんは、どのように補っていたのでしょうか。

大卒就職内定率の推移。2021年2月は、10年ぶりの悪化(画像:厚労省・文科省の発表を基にULM編集部で作成)



「私の場合は、就活アプリを活用したほかには、ゼミの先生に頼ったり、それから(就職希望の業界の)社会人の人に連絡したりしていました。友達とはちょくちょく電話するようにしていました」

 友人との電話の活用方法で興味深いのは、お互いの自宅などでそれぞれエントリーシート(ES)執筆作業をする場面。

「私たちの就活では、まだ紙(に手書きで記入したES)を郵送するスタイルの企業が多かったです。やる気が無いとできない作業だから(企業側が受験者を)“ふるい”に掛ける狙いもあるのだと思う。その作業に集中するために、友達と無言で電話をつなげたりしていました。ときどき『これどう思う?』と質問し合ったりもできて、集中できました」

 活用した就活アプリはリクナビやマイナビ、ワンキャリア。そのほか経済メディアのNewsPicksを積極的に閲覧し、希望する業界や経済全体の今後の動向について学んだといいます。

「今世の中で起きていることや業界のことは、面接でもけっこう聞かれるので、役に立ったし勉強になりました」

ウェブ面接のメリット、感染防止以外にも?

 コロナ禍で企業が一斉に導入したのが、オンラインを使った「ウェブ面接」です。

 リクルートマネジメントソリューションズ(品川区大崎)が2020年10月に発表した「大学生の就職活動調査2020」では、企業のウェブ面接を受けたことがあると答えた学生(大学4年・修士2年)は約81%と極めて高い割合でした。

 ありささんの場合も、「内定をもらった会社は最終面接だけが対面で、ほかはほとんどウェブ面接でした。ウェブか対面か、学生が選べる企業もありました」。

「好みの問題ではあるけど、私はウェブ面接の方が向いていた」と語る彼女。その理由は何でしょうか。

ウェブ面接のメリットは、感染防止や移動時間の削減以外にも(画像:写真AC)



「自分の家にいながら面接を受けられるから、ぎりぎりまで練習できるのはよかったです。パソコンの通信障害が起きないように、(面接開始の)20分前にはパソコンの前に座って通信の状況を確認して、余った時間で最後の練習をしていました」

 ウェブ面接が「良かった」と感じる理由はほかにも。

「正直、パソコンの画面上に(面接で話す内容などをまとめた)Wordデータを“カンペ”として置いておけたので、割と安心して話せました。面接の場の緊張感に飲まれてしまうのでは? と不安だったので、私はウェブの方が向いていました」

 採用面接の目的は、受験する学生が自分自身の考えや志望動機を企業側にしっかり伝え、企業側もそれを十分に聞き出すこと。緊張で頭が真っ白になって何も言えなくなってしまうよりも、事前に準備した考えを明確に伝えられる方が、学生にとっても企業側にとってもメリットは大きいでしょう。

後輩への助言、「就活はチームでやるもの」

 就活が本格化する3月頃から始めておいてよかったと思うことは、

「ESに書く“素材”……自己分析や、自分がやりたいこと、どうなりたいかを、きちんと言語化しておくことが大事でした」。

 2022年大卒予定者たちの就活も、すでに本格スタートしています。長引くコロナ禍で引き続き採用を絞る企業もあり、不安を感じる学生も少なくありません。そんな“後輩”たちに向けて ありささんは、

「私は『就活はチームでやるもの』と思っていて、面接対策も友達と一緒に何度も練習しました。コロナ禍ですが、気持ちを病まずに楽しく就活できれば。そのためには、友達に頼る、社会人の先輩に頼る、SNSなどのネットから情報を仕入れるなど、とにかく、ひとりで抱え込まずに人を頼るということをしていくといいと思います」

とエールを送りました。

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