あなたが一番好きな「東京ソング」は? 90年代~令和まで、変化し続ける描写のゆくえ
2021年2月21日
ライフ今も昔も、「東京」をテーマにした楽曲は日本で数多く作られています。しかしその描かれ方は時代とともに少しずつ変化しているもよう。その変遷と背景について、音楽ライターの村上麗奈さんが分析します。
2010年代、変わり始めた描かれ方
まず、場所に関する直接的な描写が少なくなったように思えます。
東京は特定の都市としての扱いから、象徴のように扱われることが増えました。その背景には、特定の場を表している楽曲が大衆の心には刺さらなくなったことが関係しているのかもしれません。
Perfumeの「TOKYO GIRL」(2017年)は東京で物足りなさ、憂鬱さを抱える人物を描いています。近未来感のあるパフォーマンスや、プロデューサー中田ヤスタカのサウンドに定評のあるPerfumeが提示する東京は、東京であることの重要性には縛られていないようにみえます。

サザンオールスターズの「東京VICTORY」(2014年)も東京の情景に触れているわけではありません。気鋭の現役大学生アーティストVaundyの「東京フラッシュ」(2019年)も同様に、東京の地域性は直接的に見出しにくいつくりになっています。
東京である必然性は以前よりもなくなったと言い換えることもできるかもしれません。
変化は地域性の希薄化だけではありません。フジファブリックの「東京」(2019年)、King Gnuの「Tokyo rendez-vous」(2017年)は東京と孤独が結びつけられています。土地の華々しさや人口の多さと自身の孤独が対比されて描かれた90年代と比べて、東京の印象が変化していることが表われている例であると言えます。
大都市として描かれた東京が、東京ならではの輝きをもって描かれなくなった理由はいくつか考えられます。

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