マニュアル人間も量産? 平成時代の就活マスト本『面接の達人』の衝撃

学生の就職活動で長らく読まれている書籍『面接の達人』。その歴史と功罪について、フリーライターの金平奈津子さんが解説します。


マニュアル化が始まったのは約30年前

 そもそも、就職活動のマニュアル化はいつから始まったのでしょうか。

 就職活動においてマニュアル本が必須のものとなったのは、1990(平成2)年に刊行された中谷彰宏さんの『面接の達人』(ダイヤモンド社)からといってよいでしょう。

 これ以降、学生も採用担当者も『面接の達人』に目を通し、双方の出方を探るようになりました。なお同書は現在も改訂を重ねており、最新版は2018年発行の『面接の達人 バイブル版』となっています。

1997年12月に出版された『面接の達人 99』(画像:ダイヤモンド社)

 著者の中谷さんは出版当時、博報堂(港区赤坂)のCMプランナーでした。執筆のきっかけは、中谷さん自身が毎年OB訪問を受けるなかで、面接のマニュアルの必要性に気づいことでした。

 じっくり話せば面白い人材であっても、5分や10分の面接ではそのよさを全て伝えることはできません。そこで中谷さんは「面接 = 自分自身のプレゼンテーション」という視点に立ったマニュアルを作り、OB訪問に来た学生たちに渡していました。それが同書の原型となったといいます(『週刊文春』1991年6月27日号)。

『面接の達人』の特徴はユーモアあふれる文体と、重要ポイントを最低限の文章量で説明していることです。

 例えば、面接では「志望動機」「自己紹介」だけをしっかり説明できれば構わないとシンプルに言い切っています。その理由は添えられた豊富なデータと細かい事例を見ればわかるというわけです。

 そのため、就職活動に励む学生たちはあれこれと思い悩むことなく面接に臨めたのでした。

90年代中盤に増した存在感

 1990年に刊行された『面接の達人』は5万部を突破。翌年に刊行された新版は20万部のベストセラーとなります。しかし本当の人気が爆発したのは、それから数年後のことでした。

 当時は好景気を背景に、就職活動は売り手市場の待っただなかでした。しかし景気が後退すると事情は一変。1994年には多くの企業が採用数を半減し、なかには新卒採用を見送るところも出てきました。

リモート面接のイメージ(画像:写真AC)

 そのような就職難の時代に、『面接の達人』は就職活動の必須本としての地位を確立。余勢をかって本のスタイルも変え、1994年には本編である「バイブル版」のほか、「会社の選び方」「電話のかけ方 手紙の書き方」などの各論編も販売されました(『毎日新聞』1994年5月18日付夕刊)。

マニュアル化による弊害も


【画像】90年代に出版された『面接の達人』

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