旅情とは何か? ムーンライトながら廃止でよみがえる前身「大垣夜行」の記憶

1月22日に運転終了が告げられ、話題となった夜行快速「ムーンライトながら」。その前身である「大垣夜行」の思い出について、フリーライターの大居候さんが解説します。


知らない人と共有する「旅は道連れ」な雰囲気

 東京駅で大垣夜行を待つのは大変でしたが、逆に繁忙期は楽でした。大垣夜行は繁忙期になると品川駅始発に変更され、かつての品川駅には臨時列車のためのホームがあったからです。

現在の品川駅(画像:写真AC)

 こちらはほかの乗客の邪魔にならずに待つことができまし、筆者も何度も利用しました。まず必須なのはお尻の下に敷くものです。だいたいキヨスクで新聞を買って使っていました。

 なにしろ、スマートフォンはおろか携帯電話も普及していない時代。ヒマをつぶすには文字のある紙が欠かせません。次第に行列ができてくると、敷くものを持っていない人もいるため、新聞を分けてあげて、それをきっかけに会話をして時間をつぶすのです

 大垣夜行の一番の特徴は、こうして生まれる「旅は道連れ」の雰囲気でした。

「青春18きっぷ」で乗車できる時期の大垣夜行には、だいたい貧乏旅行をする人か、なにかの夢を追っている人ばかりが集まりました。似たような趣味を持つ人間という気安さで会話は弾みます。照明がずっと点灯したままの車内で、たまたま居合わせた者同士が交流する光景は、その後のムーンライトながら、あるいは夜行バスといったほかの交通機関には存在しないものでした。

 あれこれと話をしながらウトウトとして、目が覚めるのは豊橋駅を過ぎたあたりという人が多かったと思います。途中、名古屋で下車する人もいましたが、大半は終点の大垣まで。

 そこから西へ行くためには、車両の少ない米原駅へ向かう普通列車へ急いで乗り換えなければなりません。座席を確保するために走る様子は「大垣ダッシュ」として知られていました。もっとも、急がない人は1本後の普通列車でゆっくりと旅していましたが……。

 米原駅からは新快速に乗り換えて姫路まで。姫路駅の中華麺を使った独特の駅そばは長旅を癒やしてくれる味でした。その姫路駅の駅そばも、今ではリニューアルして立派な店構えとなっています。

便利さと旅情のはざまに揺られて


【画像】『ムーンライトながら』の廃止を告げる文章

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