2月14日のバレンタインデーはなぜ広まった? 巷の「メーカー陰謀説」を一蹴する

好きな人へチョコレートを贈るバレンタインデー。その風習はいったいいつ頃、そしてどのようにして始まったのでしょうか。フリーライターの出島造さんが解説します。


1958年「バレンタイン」を掲げた大学生

 起源は複雑です。

バレンタインのチョコレートのイメージ(画像:写真AC)

 最もよく知られるのが、ギフト用チョコで知られるメリーチョコレートカムパニー(大田区大森西)の2代目社長・原邦生さんによる販促というものです。

 原さんの自著『家族的経営の教え』(アートデイズ、2006年)によると、1958(昭和33)年、当時まだ大学生で、会社を継ぐ前だった原さんは伊勢丹新宿店(新宿区新宿)で「バレンタインセール」という看板を掲げ、1枚50円の板チョコレートを販売しました。

 きっかけは、パリに住む知人が送ってきた寒中見舞いに

「当地ではバレンタインにチョコレートや花、カードなどを贈りあう習慣がある」

と書かれていたことでした。資料によって相違はあるものの、伊勢丹新宿店での販売は数枚のチョコレートが売れた程度だったとされています。

日本初の販促は1936年

 この出来事がバレンタインの起源なのかと言えば、そうではありません。同じようなことを考えた人はほかにもいたのです。

 その起源は多くの人たちにとって興味があるテーマなのか、これまでも多くの研究がなされています。

 社会学者の小笠原祐子さんによる『OLたちの<レジスタンス>』(中央公論社、1998年)では1章をバレンタインデーに費やし、各社への調査を通して、その成立過程を検討しています。

伊勢丹新宿店(画像:写真AC)

 また、社会経済地理学者の山田晴通(はるみち)さんの論文「『バレンタイン・チョコレート』はどこからきたのか(1)」(『東京経済大学人文自然科学論集』124、 2007年)は、小笠原さんの研究を基にさらに調査し、成立時期の状況を考察しています。

 これらの研究によれば、日本で最初にバレンタインデーとチョコレートが関連付けられたのは、洋菓子大手・モロゾフ(神戸市)が1936年2月12日、英字新聞『The Japan Advertiser』に出した広告とされています。しかし残念ながら、当時は広く認知されなかったようです。

 戦後になり、愛情表現として贈り物をする欧米の風習を販促に利用する試みが始まります。前述の論考には、ケーキやハート型のお菓子など、さまざまな試みが行われてきたことが記されています。

 これらの研究から総合すると、バレンタインデーの風習は、誰か特定の個人や企業が始めたものではなく、1年に1度「女性から愛を打ち明けてよい日という認識」が共有されていくなかで、徐々に定着していったということがうかがえます。

義理チョコ登場で市場も変化


【画像】1958年に「バレンタインセール」を始めた人物

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