誰でも一度は考える? 地下鉄「丸ノ内線」の地上区間はなぜ長いのか

東京の地下鉄は地下鉄とは名ばかりに、地上を走る姿も目立ちます。今回注目するのは丸ノ内線です。その理由について、ルポライターの昼間たかしさんが解説します。


丸ノ内線は「地上を走る地下鉄」の王者?

 筆者は上京して池袋近辺にしばらく住んでいたこともあり、初めて乗った地下鉄は丸ノ内線でした。

「これが有名な丸ノ内線か~」とわくわくしながら乗っていたところ、茗荷谷駅が近づくと、いきなり明るい景色が見えたので思わずびっくり。地下鉄路線図に「この部分は地上を走ります」と書いているわけでもなく、脳内は当然「???」という状態でした。

 地下鉄が地上を走る理由はさまざまですが、銀座線や丸ノ内線が地上区間を走るのは、なによりも起伏の多い地形にあります。プラス、地下の浅いところに路線がつくられているからです。

 2010年に出版された『東京メトロをゆく』(イカロス出版)には、各路線の

・開削工法
・シールド工法
・地上区間

の割合も掲載されています。

2010年出版『東京メトロをゆく』(画像:イカロス出版)

 開削工法とは「両側に沿って鉄くいを打ち込み、その上にH型の鉄の桁をかけて鉄板を敷き、路面交通に支障がないようにした後、地上から掘り進む」(日本民営鉄道協会ウェブサイトより)工法で、シールド工法とは「地上から開削せずに地下を掘り進み、前面を盾(たて)のようなもので押さえながら、まわりを鉄筋コンクリートなどで囲めてトンネルを完成させる」(同)工法です。

 これによると、銀座線は

・開削:97%
・シールド:2%
・地上区間:1%

で、丸ノ内線は

・開削:92%
・シールド:1%
・地上区間:7%

となっています。こうしてみるとかなりの区間で地上を走っていることがわかります。

 もちろん、

・日比谷線:14%
・東西線:43%

といったように、丸ノ内線より地上区間の長い路線はあります。しかしどちらも都心を少し離れてから地上区間になります。

 そのため、山手線の内側という東京のど真ん中で堂々と地上に出る丸ノ内線は、「地上を走る地下鉄」の王者にふさわしいと言えるでしょう。

丸ノ内線における路線の選定理由

 そんな丸ノ内線ですが、路線の選定は多くの議論を得て決定されました。

 その過程は東京メトロの前身である帝都高速度交通営団(営団地下鉄)が発行した『東京地下鉄道丸ノ内線建設史』(1960年)で詳しく解説されています。

 この本はメトロ文化財団(千代田区神田須田町)の運営するサイト「メトロアーカイブアルバム」にて電子ブック形式で公開されており、誰でも読むことができます(ほかの路線についても公開されています)。

電子ブック形式で公開されている『東京地下鉄道丸ノ内線建設史』(画像:メトロ文化財団)

『東京地下鉄道丸ノ内線建設史』によると、例えば最初の工事区間である池袋~御茶ノ水間は1946(昭和21)年末から翌年にかけて行われた、戦災復興院主催の地下鉄計画競技会で議論を行い、路線を決めています。

 ここでは、区画整理で新設される道路の下に地下鉄を建設することとともに、茗荷谷から春日方面の区間を地上線とする枠組みが決められています。

 路線の詳細はこの枠組みの下で決められますが、このとき、現在の後楽園~本郷3丁目間の坂は急勾配のため、地下を走るなら大規模なトンネルになることと、途中で都電を横断することから、茗荷谷方面から長い距離を高架で建設することが決まっています。

 さらに「地上線部を取り入れることは建設費の大きな節減になる」という理由にも触れており、経費節減の目的もあったこともうかがえます。

「単に浅い場所を走るから」だけではない


【画像】地上をいきいきと走る「丸ノ内線」(5枚)

画像ギャラリー

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