東京で突然「所持金0円」になった私 体験して分かった住みづらさの正体とは【連載】大原扁理のトーキョー知恵の和(11)
2021年1月31日
ライフ何とは言えないのだけど何となく息苦しい。そんな気持ちでいる人へ、東京で週休5日・年収90万円台という「隠居生活」を実践した大原扁理さんに生き方のヒントを尋ねる企画「トーキョー知恵の和」。今回のテーマは「東京と『マニュアル』」です。
マニュアルが人間に負けるとき
それでも足掛け8年も東京に住むことができたのは、便利なマニュアル至上主義のこの街で、「マニュアルがどうやっても“殺せない”人間らしさ」を見かけることがあったから。
たとえば、私は冷たいものを飲むとおなかを壊すので、夏はカフェでアイスドリンクを「氷抜き」で注文するのですが、ちょっと迷惑そうな顔をされることがあります。出された氷抜きのアイスドリンクは、氷の分だけ減らされて、グラスに半分だけ。
たぶんマニュアルでサイズごとに容量が決まってて、勝手に変えられないんだろうけど、私だったらひと回り小さいグラスを使うとかするのになぁ、とモヤモヤ。
ところがとあるチェーン店で、東南アジア系の店員さんに、アイスカフェラテを氷抜きで注文したときのこと。どうやらエスプレッソマシーンには冷やす機能がついていなくて、アイスの場合はそこに氷をたくさん入れて冷やすため、アイスの氷抜きだと、かなりぬるめになってしまうようでした。
店員さんはそれを見せるため、一度氷なしで作ったアイスカフェラテを持ってきて、私の手を取り、カップに当てました。「ね? ぬるいでしょ。だからふつうにホットにしなさいよ!」と言って、それを捨て、問答無用でホットカフェラテを用意してくれました。

自由だな~、と思ったものの(笑)、これこそマニュアルに殺されない人間らしさじゃないか! と静かに感動して、そのままホットカフェラテを買ったのでした(料金は1杯分でした)。
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