東京で突然「所持金0円」になった私 体験して分かった住みづらさの正体とは【連載】大原扁理のトーキョー知恵の和(11)

何とは言えないのだけど何となく息苦しい。そんな気持ちでいる人へ、東京で週休5日・年収90万円台という「隠居生活」を実践した大原扁理さんに生き方のヒントを尋ねる企画「トーキョー知恵の和」。今回のテーマは「東京と『マニュアル』」です。


自分が「マニュアル対応外」通告をされた日

 私は2016年に台湾へ引っ越したのですが、日本へ一時帰国したその日に財布を落としたことがありました。東京のターミナル駅にいたので、とりあえず最寄りの交番に行き、遺失届を記入。

 お金がないので友人に電話して助けに来てもらおうと、交番の電話を借してもらえないか聞いてみました。すると、「これは交番の電話ですから、貸し出せません」。

 じゃあお金を貸してもらえますか? もちろん後でお返ししますので。「できません」。でも借用書を書けば、とりあえずの電車賃くらいは借りることができると、ラジオで聞いたんですが。「できません、そういう決まりなので」。

 うーむ、どうしたものか。

 帰国したばかりで日本の携帯を持っていない、財布を落としてお金がない。なのに交番ではとりつくしまも、イレギュラーな対応もなし。

 プログラムされた電話の自動音声としゃべってるようなもどかしさを感じながら、私はようやく気づきました。自分がいま、「マニュアル対応外」通告を出されたことを。

 キレイで便利でモノがあふれた東京という街で、お金を持っていない私は一瞬、途方にくれました。

 で、どうなったかというと、このとき直前に使っていたSuicaを、財布に戻すのがめんどくさくてポケットに入れていたことを思い出し(ナイスめんどくさがり屋!)、それでなんとか宿泊する予定だった友人宅にたどり着くことができたのでした。

 便利な東京には落とし穴がある。一度「マニュアル対応外」の通告を出されたらあとは落ちていくだけ、ひっかかるところはどこにもない。

「マジョリティー」という、知らずに履かされていた下駄をなくしたとき、はじめて「東京って不便で怖い街なのかもしれない」と思いました。

マニュアルが人間に負けるとき


【イラスト】週休5日・年収90万円台の「隠居生活」とは?

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