日本の「職人技」とは何か、そしてなぜ継承が必要なのか? ユネスコ無形文化遺産登録を機に考える

このたび、木造建造物を受け継ぐための伝統技術「伝統建築工匠の技」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。どのような技術で、なぜ技術継承は必要なのでしょうか。ユネスコフリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。


需要減少にともない危ぶまれる技術の継承

 このほど無形文化遺産に登録された「伝統建築工匠の技」も、脈々と人から人へと受け継がれてきました。

明治神宮の廻廊(画像:写真AC)




 伝統建築工匠の技には、宮大工や左官といった職人が含まれています。これら伝統建築工匠には、昭和生まれだったらなじみのある畳職人・瓦職人も含まれていますが、住環境が大きく変化した現在は、畳や瓦の需要も減少しています。

 需要が減少すれば、当然ながら職人も減っていきます。こうして、職人たちは少しずつ姿を消し、それらの技術の継承も難しくなっているのです。

 昨今、住宅メーカーをはじめ建設業者の多くはオーダーメード的な技術、熟練を要する技術を忌避する傾向が強まっています。それは、熟練の技がなくても建築物などをつくれるようにしたという意味では画期的です。

 しかし、それはあくまでも現在の話であり、過去に施工された建築物を維持していくためには、やはり伝統的な技術・工法が必要なのです。

遠ざけられる華美な装飾

 戦前期までは、本邸・別邸を問わず家屋は富裕層のステータスでもありました。そのため、富裕層は競うように装飾を凝らし、意匠(デザイン)を競い合いました。それらが、職人の技術継承に一役買っていた面があります。

 昨今の個人住宅において、寺社建築・城郭建築のような華美な装飾は求められていません。さらに東京都心部は一戸建て住宅よりもマンションを好む傾向が強くなっているため、ますます伝統的な職人技術を必要としなくなっています。

 マンションの建設を請け負うのは、個人の職人ではなく企業です。なかには3次請け・4次請け、はては10次請けのような形で「ひとり親方」のような職人もマンション建設に携わっています。

 しかし、以前と比べれば決して出番は多くはありません。まして、かやぶきや檜皮(ひわだ)ぶき、縁付金箔(きんぱく)製造といった伝統技術を有する職人たちに声がかかることはめったにありません。

 寺院・神社・城は全国に点在していますが、個人住宅やビルの数に比べれば圧倒的に少数です。

 伊勢神宮の式年遷宮は20年、出雲大社の遷宮は60年単位で実施されています。これらが定期的に遷宮を実施しているのは、メンテナンスをすることで職人の技術継承という意味を含んでいます。定期的に社寺を建て直したり、補修したりといった機会を設けなければ職人の腕がさびついてしまい、技術の継承ができなくなるのです。

職人の育成は必要不可欠


【画像】今回ユネスコに登録された「日本の職人技」を見る

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