『鬼滅』よりすごかった? 新宿を包んだ90年代「エヴァ」の衝撃、誰もが批評家だった当時を振り返る
2021年1月6日
ライフ来る1月23日に公開される『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。同シリーズの歴史などについて、フリーライターの出島造さんが解説します。
主題歌CDの売り上げから集まった注目
今はなき歌舞伎町の映画街には、雨にも拘わらず大勢の人が行列していました。
その熱狂たるや、直前になって早朝5時10分からの上映が決定されるほど。しかも100人目まではプレゼントが付くという整理券配布を行ったため、人が余計に殺到。100番までの整理券は数万円単位で取引される事態に。映画館側も劇場前に長机を置いて、パンフレットを販売。空き箱には1000円札と500円玉がどんどん積み上げられていきました。

新劇場版の頃(2007年~)になると、多くの映画館は座席予約システムを導入していましたが、なぜかファンは映画館に集まりました。
2009年の第2作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』公開の際、筆者の友人が映画館の初回チケットを確保してくれたのですが、夜中の12時過ぎに「なんで映画館に来ていないんだ!」と怒りの電話がかかってきたのを覚えています。
この頃は社会常識が変化したのか、映画館側の対応は「深夜に待機しないでください」といったもので、行列していたファンは座席指定のチケットを持っているにもかかわらず散らされたといいます。
『鬼滅の刃』でも現在似たような現象が起きていますが、作品への興味があってもなくても、当時、メディアや文化人は語らなくてはならない雰囲気となっていました。
テレビアニメが話題になっていた1996年の雑誌を見ると、「とんでもなく話題のロボットアニメがある」として一般メディアもエヴァンゲリオンに言及しています。「ロボットではなく、エヴァンゲリオンだ」とファンは怒るかも知れませんが、とにかく信じられないほどの盛り上がりだったのです。
最初に一般メディアが注目したのは、主題歌CDの売り上げです。そのためか、
「内田有紀より凄い」(『週刊文春』1996年6月13日号)
「小室哲哉も蹴落とす人気」(『週刊読売』1996年6月13日号)
「ポスト小室ミュージックの本命」(『スコラ』1996年7月11日号)
といった記事が並びました。

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