散歩途中で知らない人に道を尋ねる楽しさ――スマホ普及の世界ではもういらないのか?

携帯電話の普及で、外出中に他人に道を聞く機会は減りました。しかし直接声を掛けて見るのもたまにはよいかも? 散歩ライターの増田剛己さんが解説します。


道を教えてくれた親切なおじさん

 山口県で育った僕が初めて他人に道を聞いたのは、小学校1年生のときでした。

 ある日、学校の授業終わりに担任の先生が生徒たちに向かって「校区外に行ってはいけません」と言ったことがありました。校区とは西日本の言い方で、東日本では「学区」のこと。僕はその日、どういうわけか校区ぎりぎりのところまで行ってみたくなり、いったん帰宅してから家を出ました。

 どこまでが校区か知りませんでしたが、歩き始めて、気がついたら見たことのない場所に着いていました。あたりは暗くなり、急に不安になってつい泣いてしまったのです。

 泣きながら歩いていると、あるおじさんが「僕、どうしたの?」と声をかけてきました。道に迷ったことと自宅の住所を伝えると、おじさんは道を教えてくれました。道を聞いたというより、相手から教えられたのです。

 教えてもらった通りに歩いていくと、見覚えのある道に出ました。なんだか安堵(あんど)して、そこから駆け出して家に着きました。遅い時間に帰ったので、母親にはめちゃくちゃ怒られましたが、なんだか家に帰れたことがうれしく思いました。

2005年10月、携帯電話の地図アプリと実際の道(画像:増田剛己)

 中学生になったときに、道に迷った場所に再び行ってみましたが、家からあまりに近い場所で、拍子抜けしたのを覚えています。

 これは1970年代のことですが、当時は他人に道を聞くのは当たり前で、誰でも気軽に道を聞いたり、聞かれたりしていました。

 時はたち、大学生時代に中年女性に道を聞いたとき、目的地までの時間をこう説明されました。

「そうねぇ、ダンナさんの足で10分くらいですかね」

 他人から初めて「ダンナさん」と言われ、自分も大人の男としてみられているのだとなんだかうれしくなったのです。は、ちょうどこのころよく使われた表現に、「男の人の足、女の人の足」というのがありました。

かつては使われていた表現


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