浅草「かっぱ橋」老舗店の6代目が「100年使えるフライパン」を作った熱き、厚き理由

近年顕著なフライパンの「使い捨て文化」を憂い、100年選手の商品を作ろうと懸命になっているのが、かっぱ橋道具街にある飯田屋の6代目・飯田結太さんです。商い未来研究所代表で、小売流通専門誌「商業界」元編集長の笹井清範さんが解説します。


思いを叶えた燕市の厨房機器メーカー

 鉄製などフッ素加工していないものでは、「きちんと手入れしても、もって10年から30年がせいぜい」と飯田さん。300種類以上のフライパンを扱い、独り暮らしの独身時代から40枚のフライパンを使いこなしてきた彼の結論です。

「100年使えるフライパンをつくりたい」

 そう考えた飯田さんは、さまざまなメーカーに声をかけて夢を語りました。けれども、そのたびに返って来るのはつれない言葉の数々。

「できるわけがない」
「そんなものをつくったら、買い替え需要がなくなってしまう」
「つくってもいいけど、そんなロット数じゃ話にならない」

 しかし、飯田さんの熱意がひとつの出会いを生みました。

 洋食器などのものづくりのまちとして知られる新潟・燕市の洋食器・厨房(ちゅうぼう)機器メーカー、フジノスの丸山俊輔さんが飯田さんの思いに耳を傾けてくれました。同社は従業員30人ほどの小さなメーカーですが、世界で初めてIHクッキングヒーター用鍋を開発した高い技術力を誇ります。

 丸山さんは飯田さんの提案を社内に持ち帰り、会議に諮(はか)ったそうです。

「小さな商いかもしれませんが、当社の技術力が試されている。ならば、それに応えたい」

 こうして、同社で20年にわたって製造にあたってきた技術者・佐藤友昭さんに開発のバトンが渡りました。構想から5年、3年の試作を繰り返して完成したのが飯田屋オリジナルフライパン「エバーグリル」です。

「買い替え至上主義のマーケットとは真逆の発想がこの製品に独自性をもたらしている」とはグッドデザイン賞の審査評価。(画像:笹井清範)

 直径26cm、持ち手と一体成型で重さは1.6kg。同型の最も軽いタイプだと400gと言いますから、およそ4倍の重さです。まさに持ち重りする一品です。

 素材は最もゆっくりと食材に熱が伝わるステンレス製で、しかも板厚3mmの超極厚板だから、ステーキなど厚い肉をしっかりと焼くのに適した一品です。なお同じシリーズには、ステンレスに比べて油なじみが早く熱伝導が速い窒化鉄製もあります。

1年当たり250円、実はお得?


【画像】エバーグリルを作った技術者・佐藤友昭さん

画像ギャラリー

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