2020年の写真集『東京、コロナ禍。』 何度も見返してしまう「3月29日」の1枚とは

まもなく終わりを告げる2020年。新型コロナウイルス一色だった1年を、克明に記録した写真集があります。『東京、コロナ禍。』(柏書房)。この1冊が見る者に与える感情や感慨の意味について、ライターの屋敷直子さんが自身の記憶とともに解説します。


不鮮明な時間をたどるための「よすが」に

 写真は時系列に並んでいて、外国人旅行者の増加を前提とした羽田空港新飛行ルートの運用開始(3月29日)、練馬区のとんかつ店で火災が起こり、オリンピックの聖火ランナーに選ばれていた店主が焼死(4月30日)、医療従事者に感謝をしめすためにブルーインパルスが飛行(5月29日)といった時事関連の写真も、間にはさまっています。

写真集『東京、コロナ禍。』から。「ソーシャルディスタンスを示すシートを貼るコンビニ店員」(画像:初沢亜利、柏書房)

 それらはいわゆる報道写真ではなく、妙な生々しさがありますが、こんなことがあったなという具体的な年月を刻む目安になります。

 5月11日、品川の東京出入国在留管理局の写真は、狭い部屋に閉じ込められている外国人にマスクを配られていないことがわかります。

 コロナウイルスによって何もかもが変わってしまった、と言われますが、これまでにもあった問題が表に出てきただけということかもしれません。インバウンドに沸いた街の裏側の実態が伝わってきます。

 2020年を振り返ってみても、なんだかよくわからない、まだ自分のなかでうまく咀嚼(そしゃく)できていない、と感じることはないでしょうか。

 自分を取り巻く世界の変化が大きすぎて、対処方法も、感情の落ち着きどころも、すべてが流動的で頼りなく、ただ不安だけが積み重なっていく。生活は一変した、でもすべてが靄(もや)にかかったように不鮮明。

 この写真集は、こうした不鮮明さについて考える“よすが”となるのではないかと思うのです。

何度も見返してしまう「3月29日」の1枚


【画像】写真集『東京、コロナ禍。』を見る(計10枚)

画像ギャラリー

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