「3密」から「5つの小」まで 小池都知事の言葉が力強くて記憶に残るワケ
2020年12月27日
ライフコロナに始まり、コロナに終わった2020年ですが、対策の陣頭指揮で存在感を高めたのが小池百合子東京都知事です。そんな小池都知事の発する言葉の強さについて、東京都をフリーライターの鹿間羊市さんが分析します。
言葉によって現実の見え方は変わる
例えば、目の前に1本の木があると想像してみましょう。

木は「根・幹・枝・葉」というさまざまな部分から成り立っています。私たちはそれぞれの部分を指し示す言葉を知っているので、当たり前のように「根・幹・枝・葉」を区別することができます。
しかしこれらの言葉を知らないまま1本の木を目の当たりにしたら、私たちはそれをどう捉えることになるでしょうか。何やらえたいの知れない、茶色と緑の長い物体としてしか認識できないかもしれません。
言葉があることで、私たちは現実の事物や事象をより明確に捉えることができます。「明確に」というのは「区別ができる」ということです。
例えば日本語では、川に生息し硬質なうろこと強力な顎を持った肉食の爬虫(はちゅう)類を「ワニ」という言葉でしか表現できませんが、英語であればどう猛で牙の鋭いcrocodileと、比較的小型で温厚なalligatorといったように区別できます。
言語や文化によって、この区別のあり方は千差万別です。例えば「色彩」は無数のグラデーションから成り立っているものですが、ひとつひとつの色を表す単語の種類によって、「どこまでが同じ色で、どこからが違う色か」という境界線の位置が変わる、ということになります。
ソシュールは「ある言葉が指し示す範囲」というものが言語によってさまざまに異なることを「恣意(しい)性」という言葉で表現しました。
恣意性はここで「必然性」の対概念となっており、「別様でもありうる」ということを意味しています。すなわち、ある言葉と現実との結びつきは必然的なものではなく、言葉が指し示す範囲は流動的に変化しうる、というわけです。

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