アジア文化を丸ごと飲み込む「新大久保」 駅の右と左で異なる街並みが映し出す近未来ニッポン
2020年12月16日
知る!TOKYO駅の出口から右に行くか、左に行くかでまったく印象の異なる街、それが新大久保です。そんな新大久保の魅力について、アジア専門ライターの室橋裕和さんが解説します。
コロナ禍で注目された「日本の中の異国」
新大久保駅の「右側」、つまり韓流エリアは2000年代に入ってから観光地として発展してきた場所です。
2002(平成14)年の日韓共催のワールドカップ、2003年のドラマ「冬のソナタ」にはじまる韓流ブームを受けて急増した日本人観光客の需要に応えるため、さまざまなショップやレストランがつくられていきました。いわば、テーマパーク的コリアンタウンといえます。
一方で「新大久保の「左側」は、東南アジアや南アジアを中心とする外国人たちがたくさん暮らしています。彼らの日々を支えるさまざまな店が並ぶ、「リアルな生活の街」なのです。いまではアジアの下町のようにもなっています。
スパイスをはじめとしたさまざまな調味料や食材を売る店、現地そのままの味のレストラン、インドやネパールの食器やお香などを売る店もあれば、ネパール人や中国人の女性相手の美容室、サリーやアクセサリーの店もあります。送金会社はコンビニよりもはるかに多いし、外国人のビザや在留資格の手続きをする行政書士の事務所もたくさん。これらの外国人が暮らす上で必要なインフラが、新大久保には整っているのです。

こうした街の光景が、日本人にも興味を持たれるようになってきました。特にコロナ禍で外国旅行に出掛けることのできないいま、「国内で異国気分を楽しめる」と、コリアンタウンではなく、むしろ新大久保駅を出て左折する日本人が増えています。
よく誤解されるのですが、どの店でも日本語はちゃんと通じます。皆さん日本で商売している以上、ちゃんと言葉を学んでいる人ばかりです。店のたたずまいはいかにもアジアの雑ぱくな商店街でやや気後れするかもしれませんが、入ってみれば皆さんフレンドリー。食材や料理について熱く語ってくれる人もいます。
スパイスやエスニック料理のファンにとって、新大久保はいまや聖地のようにもなっています。

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