『鬼滅の刃』の聖地、台東区「浅草」が人々を引きつけてやまない根本理由

コロナ禍で観光客が激減も、アニメ『鬼滅の刃』の影響で再び注目を浴びる浅草。そんな同エリアの持つ魅力について、文教大学国際学部准教授の清水麻帆さんが解説します。


浅草復興と文化

 このように江戸時代からさまざまな文化に彩られにぎやかだった浅草かいわいですが、関東大震災(1923年)や東京大空襲(1945年)で大きく被災した地域のひとつでもあります。

 その際、浅草寺に続く仲見世や浅草かいわいのほとんどの建物は崩壊したり、破壊されたりしましたが、浅草寺は一部を除き、観音堂にほとんど被害がなく、人々の避難所や復興の中心となりました。

 今も昔も、避難所や参詣、観光などさまざまな目的で人々が集う場所として、歴史を目撃してきたのが浅草寺であるともいえます。

 また浅草花街も関東大震災の際に被災しましたが、すぐに復興。戦争が始まる前の昭和初期以前までに、芸者数は約750人、置き屋も約300軒、料理屋も37軒までに回復したといわれています。

 その後の太平洋戦争により、浅草かいわいは再び大きく被害を受け、それまで浅草のシンボルだった凌雲閣も関東大震災で半壊に。しかし、浅草花街は翌年に活動を再開しています。

江戸東京博物館にある「凌雲閣」の模型(画像:清水麻帆)

 当時の芸者数は40人ほどでしたが、復興に向けていち早く動き出していました。毎年約200万人が集まる一大イベントである三社祭(浅草神社例大祭)にもこの頃から参加するようになり、今日の祭りの奉納舞踏につながっているのです。

 近年は、お座敷遊びをする人が少なくなるなか、芸者が自ら英語や中国語で「お座敷おどり」の演目を説明。外国人観光客に無料体験のお座敷遊びを提供するなどしていました。

 現在のコロナ渦で浅草のにぎわいはもとより、芸者衆の活躍の場がほとんどない状況が続いています。花街存続のため、東京浅草組合はクラウドファンディングを行い、181人の支援者から約535万円を集めました。

 これらの返礼品のなかで「芸者衆と直接触れあえる女子会ランチ」や「芸妓(げいぎ)体験」など魅力的なものがありました。こうした返礼品は、伝統文化継承のための財政的支援の側面もありますが、これまで芸者衆と関わることがなかった人たちに知ってもらえる機会となります。今回の危機もピンチをチャンスに変えるようなアイデアで乗り越えようとしているわけです。

草の歴史文化が続く理由

 このように浅草の歴史文化が現在まで続いているのは、浅草文化を担う人々がそれぞれの技や精神、誇りを持って受け継ぎつつも、困難に直面した際には彼らが中心となり、イニシアチブを取って地域や文化の復興に取り組んでいるからです。

 そこには同じ地域文化を基盤としたコミュニティーのアイデンティティーがあり、それが復興の基軸となっています。そのため、地域復興に文化が重要な役割を果たすのです。

三社祭の様子(画像:写真AC)

 地域経済学者の宮本憲一氏は、地域の維持可能な発展には住民の地域づくりへの参加が重要であると1970年代に指摘し、「内発的発展論」を提唱しています。また、都市経済学者の佐々木雅幸氏も地域づくりにおける文化や創造性の力について、「創造都市論」のなかで論じています。

 さらに文化地理学者の増淵敏之氏も、文化産業の発展には文化的なネットワークが重要であることを指摘しています。このように地域の発展において文化というものが重要な役割を果たすのです。

歴史文化が現存している街になぜ人は引かれるのか


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