年間チャートでも存在感 「ボカロ系ユニット」を何度も聴きたくなるワケ
2020年12月6日
ライフ2020年に飛躍を遂げた音楽ユニット「ずっと真夜中でいいのに。」「ヨルシカ」「YOASOBI」。3組に共通するのは、ボーカロイドで楽曲を制作するクリエイターと女性ボーカルという点です。彼らの人気の理由は何なのか? 音楽ライターの村上麗奈さんが解説します。
作り手の心情を切り離した楽曲
作者や演奏者の心情とはある程度距離を置いた「作り物」として注目させることで、音楽の音や構成、歌詞に注目させる効果があります。
小説を読む際、読者は作中のキャラクターの発言内容を作者が考えていることと常に同一であると受け取るでしょうか。そもそも小説を読むにあたって、作者の存在を強く意識するでしょうか。
これを裏付けるように、ずっと真夜中でいいのに。とヨルシカのどちらも、虚構性の強い小説のような歌詞が特徴でもあります。

たとえばヨルシカの『だから僕は音楽を辞めた』は、歌詞に「僕」と「君」が登場しますが、それがどのような人物なのかといったことや、ふたりの関係性などは一切明らかにされません。
<君の目を見た 何も言えず僕は歩いた>
こうした歌詞は小説にあってもおかしくない文で、このような文体の詞をヨルシカは多用しています。またそのほか、ひとつの物語を構築するようなコンセプトアルバムを『だから僕は音楽を辞めた』『エルマ』の2作で作り上げています。
メディア出演が増えているYOASOBIにも同様のことが言えます。
彼らのコンセプトである「小説を元にして作られた」音楽は、言うまでもなくフィクション性が強い歌詞をしていますし、メディアに出ているとはいえ、ボーカルのIkuraはビルボード・ジャパンのインタビューで
「まず原作のイメージを大事にしたいと思って、ストレートに楽曲の色に染まれるよう、歌い方のクセをできるだけ抑えました」
と語っており、自分の感情を介在させないことに意識的です。

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