「クセが強い」の汚名返上 バタークリームの躍進を支えた「コレステロール論争」とは?【連載】アタマで食べる東京フード(10)

味ではなく「情報」として、モノではなく「物語」として、ハラではなくアタマで食べる物として――そう、まるでファッションのように次々と消費される流行の食べ物「ファッションフード」。その言葉の提唱者である食文化研究家の畑中三応子さんが、東京ファッションフードが持つ、懐かしい味の今を巡ります。


かつてバタークリームが敬遠された理由

 ウエストの、その名もズバリ「バタークリームケーキ」は、有塩バターからくるほのかな塩気がアクセント。塩の効果でバターの風味を引き出し、かつあっさりさせるという、日本ならではの味わいです。

「洋菓子舗ウエスト」のバタークリームケーキ(手前)、黄色と茶色のスポンジのつなぎ目にバタークリームが塗ってあるモザイクケーキ(右)、コーヒー風味のバタークリームとクルミの苦みの相性がよいモカケーキ(画像:畑中三応子)

 実は、バタークリームには、「重くて、くどくて、おいしくない」と、悪いイメージを持たれた時期が続きました。とくに軽くふんわりした生クリームやムースのケーキが主流になってからは、「古臭い」とみなされるようになってしまいました。

 これには、わかりやすい理由があります。

 昔は、バターの品質があまりよくなかったことがひとつ。ふたつめは、価格をおさえるために植物性のショートニングやマーガリンを混ぜて作っていたことです。

 食品表示がうるさくなかった時代は、植物性でも堂々とバタークリームとうたうことができました。

 ワクワクしながら口に入れたバースデーケーキやクリスマスケーキのクリームにバターらしいコクをまったく感じず、それどころか舌にまとわりつくようなしつこさが残ったら、がっかりの気分も倍増するというものです。

 理由の三つめは、家庭での保存が悪かったことです。

 かりに本物のバターを使っていたとしても、バタークリームは酸化が早く、外からの匂いを吸着しやすいのが特徴。それなのに、何日も冷蔵庫に入れていたり、逆に室温で長く置いておいたりと、劣化した状態で食べることが多かったのです。

修業を積んだパティシエたちの尽力


【今や定番】バタークリームを使った最旬スイーツ(画像5枚)

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