水上バスで隅田川・荒川をめぐる「いちにちゆらり旅」体験ルポ 都心で堪能する8時間35分の船旅とは(前編)
2020年11月25日
知る!TOKYO東京水辺ラインが運行する、隅田川から荒川、そして東京湾をへて再び隅田川にもどる周遊コース「いちにちゆらり旅」。同コースの体験した文筆家の広岡祐さんが詳細をリポートします。
隅田川をさかのぼって
8月下旬のある日、墨田区役所前発着所には6~7人の人々が集まりました。「いちにちゆらり旅」を予約した乗船客です。筆者(広岡祐。文筆家、社会科教師)と同様に、全行程の乗り通す人も何人かいるようでした。天気は快晴。体温チェックのあと、チケットを手に「あじさい」号に乗船します。

今回乗船する「あじさい」は1991(平成3)年の完成。全長約25m、最大定員144人の船舶です。同型船の「さくら」、定員200人の大型船「こすもす」とともに、東京都の防災船としての役割も担っています。水辺ラインを運行している東京都公園協会は公益財団法人で、これらの船は大規模災害時に帰宅困難者の輸送や医療・救護に活用されることになっているのです。
船着き場に向かう前に、コンビニで食料を調達。船内には飲み物の自動販売機はあるものの、売店はなく食べ物は用意されていないのです。小型のクーラーボックスに食料品と、ついでにお酒と氷も用意しました。
浅草寺にも立ち寄ってお参りしましたが、散歩の最中に本堂に向かって一礼をするのは地元の人たちばかりです。早朝から外国人観光客であふれていた境内はひと気が少なく、実にさびしい光景でした。
墨田区役所前発着所を出発
9時10分、「あじさい」は墨田区役所前発着所を定刻に出発。東武線の花川戸鉄橋をくぐり、対岸の浅草寺二天門前発着場に立ち寄ってから、川上へと進みます。
吾妻橋近辺から隅田川を北上するルートは、現在はこの東京水辺ラインの水上バスだけなのです。東京大空襲の爪痕が親柱に残る言問橋(1928年)や、X型の優美な姿が特徴の人道橋・桜橋(1985年)など、ふだんは見上げることのできない橋を次々とくぐりぬけていきます。

進行方向の左手、隅田公園の北に見えるのが旧山谷堀の遊歩道。山谷堀は江戸時代、吉原通いの猪牙舟(ちょきぶね)が通った水路です。
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