1984年に日本上陸「エリマキトカゲ」 大ブームで便乗商品が氾濫、あなたは持ってた?
2020年11月6日
ライフ80年代に一世を風靡したエリマキトカゲブーム。その背景について、フリーライターの本間めい子さんが解説します。
レコードもビデオも発売された
その後、6月頃からついに本物のエリマキトカゲの上陸が始まると、さらにブームは過熱します。
まず生まれたのが、レコード『エリマキトカゲの真実』です。歌うのはかまやつひろし。ちなみにB面にはコピーライターの糸井重里が作詞した『襟巻きと影』が収録されています。
ちなみにレコードが生まれたのは、かまやつが井上陽水と酒を飲んでいるときに「あんたハチュー類に似ているから、エリマキトカゲの歌でも歌うと当たるんじゃない」と言われたからだとか(『週刊明星』1984年7月12日号)。
さらにポニー(現・ポニーキャニオン)からは『エリマキトカゲ物語』というタイトルのビデオも発売されました。

15分間たっぷりとエリマキトカゲを見ることができて、値段は3900円。内容に物語があるわけでなく、エリマキトカゲが動いている映像が15分続くだけ。そんなものでも売れたのです。
つくば万博からも展示オファーが
こうしていよいよ夏休みが始まると、輸入されたエリマキトカゲの巡業が各地のデパートやスーパーで始まります。ところが日本に持ち込まれたエリマキトカゲの数は、正規に輸入申請が行われたものよりずっと多かったのです。
正規の輸入業者には1日100万円で貸してほしいという依頼が来たり、「日本人の密猟グループが観光ビザでニューギニア島へ入り、エリマキトカゲ16匹を船積みした」といったような情報も流れたりしていました(『朝日新聞』1984年8月7日付朝刊)。
このブームの中で、1985年に開催が迫っていたつくば万博でエリマキトカゲの誘致案が急浮上します。なぜかと言うと、茨城県と国際科学技術博覧会協会はコアラの展示をオーストラリア政府に求めていましたが、「万博はお祭り的性格が強く見せ物同然になる」と断られていたからです。
1970(昭和45)年の大阪万博では月の石、1981年の神戸ポートピア博ではパンダという目玉があったように、とにかく珍しいもので客を集めたい主催者側は、コアラがダメならと、エリマキトカゲの誘致を図ったのです。

この見せ物計画に激怒したのが、科学技術庁(現・文部科学省)でした。
当時の岩動道行(いするぎ みちゆき)科学技術庁長官は記者会見で、「動物愛護の精神に反する。そんなことで客引きするとはとんでもない。あんなかわいそうなことに私は反対。アイデアとして何か考えたいということだろうが、そんな無理する必要があるか」と怒りを隠さないコメントをしています(『朝日新聞』1984年9月10日付夕刊)。
こうしてブームは、夏が終わると予想通り急速に冷めていきました。なお、日本国内で現在エリマキトカゲを飼育している動物園はほとんどありません。

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