すっかり定番化した「100日後にする」漫画シリーズ 都会の「名もなき個人」を輝かせる絶妙な表現手法とは

2020年10月27日

ライフ
ULM編集部

2020年10月最注目の漫画作品といえば『鬼滅の刃』で間違いないでしょうが、同年上半期の大ヒット作品を覚えていますか? ツイッターなどのSNS上で連載された「100日後に死ぬワニ」。この作品が残していった足跡(そくせき)とは何だったのでしょうか。


見どころは、結末以上に曲折の過程

 本家「100ワニ」や上記パロディー作品に共通して言えるのは、タイトルで結末を言い切ってしまうことで始めから壮大な“ネタバレ”をしている一方、その結末に至るまでの曲折の展開や登場人物たちの心情描写にこそ本当の見どころが用意されていること。

 就活中の犬くんは、不採用の通知を受け取るたびに「人格を否定されているようだ」とベッドに身を投げ出して落ち込み、それでも起業での成果や採用選考通過の知らせに「初めてちゃんとほめてもられた」などと自信を付けていく――。

 学生にとって一筋縄ではいかない就活の日々が丹念に描かれています。

 マッチングアプリの出会いから電撃婚約、そして破棄まで怒涛の100日間を駆け抜けた男女(夏海と拓哉)は、相手を責めたり内省をしたり歩み寄ったりそれでもやっぱりうまくいかなかったりを繰り返しながら、最後には

「いろいろあったけど、いい思い出だった」
「一生ひとりってのも悪くないな……」

と、おのれの婚活を振り返ります。

ありふれた日常も、当人には大事件

 結末に至るまでの過程こそ見どころであるがゆえでしょう。登場するのは特別抜きんでた能力や特技を持たない、ごくごく一般的な人物たち。そして日々描かれるのは、リアルでありながらも“大事件”と呼ぶほどではない、ごくありふれた日常のひとコマとその繰り返し。

 それは本家「100ワニ」から踏襲されているスタイルでもあり、名もなき一個人の日常をのぞき見するスリルと同時に、読者本人が自分自身を重ね合わせやすくなる仕掛けとしても生きています。

 たとえば約1400万人が暮らす東京では、毎年何万人もの学生が就職活動にいそしみ、かたや同じ街でそれ以上の数の男女が今も婚活に励んでいます。

約1400万人が暮らす東京では、名もなき個人がそれぞれ落ち込んだり希望を持ったりを繰り返しながら日々を過ごしている(画像:写真AC)

 ありふれた日常であっても当人にとっては大問題である出来事に翻弄される登場人物たちの姿に、読者は感情移入し、まるで自分の分身を見るような感覚で次の展開を心待ちにするのかもしれません。

 ちなみにツイッター上では、100日連載漫画の投稿以外に「100日後に○○する」という枕詞を付けたアカウント名もすっかり定着しました。

「100日後にやせる」「100日後にマッチョになる」「100日後に絵がうまくなる」など、自分の目標を宣言しそれに向けて努力する様子をそれぞれが日々の投稿で報告しています。

もし今日から「100日間」を数えるなら


【画像】いろいろ生まれた「100日後」パロディー漫画の例(4枚)

画像ギャラリー

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