大学受験で「超安定志向」が加速中 もはや早慶MARCHはスルーされてしまうのか
2020年10月25日
ライフコロナ禍で混迷が予想される2021年度の大学受験。その課題について、教育ジャーナリストの中山まち子さんが解説します。
岐路に立たされた大学運営
大学側は言うまでもなく、学生の多様性を求めて日本全国から入学してくることを望んでいます。
しかし、東京の大学では東京圏(東京、千葉、埼玉、神奈川)出身の新入生の割合が増加。文部科学省の学校基本調査によると、2018年度に東京の大学に入学した学生の69.2%が1都3県の高校出身者で占められていました。
特に私立大学の両雄、早稲田大学・慶応義塾大学ではその割合は高く、両校とも72%前後と東京圏の「ローカル大学化」が進んでいます。
すでに早稲田大学・慶応義塾大学や明治大学では地方出身の学生を対象にした奨学金制度を設けて支援を行ってきましたが、問題点がないわけではありません。なぜなら、地方出身の学生を優遇すれば、東京圏出身の苦学生が置き去りにされるからです。
また、元々少子化だった状況に超安定志向と地元志向の高まりが訪れ、都内の有名大学への志願者が一気に減少すれば、大学の収入源のひとつである受験料が見込めなくなります。この状況が続けば、大学の経営悪化は避けられません。

現にコロナ禍で付属病院の経営が悪化したため、東京女子医科大学(新宿区河田町)は2021年度から、6年間で1200万円もの学費アップを行うとしました。学費の値上げは他の私立大学にとってもひとごとではなく、時間の問題となっています。
「黙っていても受験生が志願する」時代は、予想以上のスピードで過ぎ去りつつあります。コロナ禍だけでなく、少子化という普遍的な問題を抱えながら各大学がどのようにかじ取りをするのか、その動向から目が離せません。
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