都心と郊外のいいとこどり? 東京転勤者にぴったりの江戸川区「瑞江」とは【連載】東京下町ベースキャンプ(4)
2020年10月22日
知る!TOKYOかつて江戸近郊の農村部だった東京東部の「下町」。そんな同エリアを、ブログ「限界ニュータウン探訪記」管理人の吉川祐介さんは新たな「拠点」と位置付け、再解釈を試みています。
都市生活と郊外生活が両立できる街
この今井橋が玄関口として機能していたのは、現在の瑞江駅周辺がまだハス畑も多く残る農村時代でした。
筆者の知人の祖父は1960年代半ば頃、現在の瑞江駅近くに位置した池を含む湿地1000坪を、当時の「日産ブルーバード」の新車価格(約67万円)と同程度の価格で購入しないか、と持ち掛けられた経験があるそうです。
これは現在の物価水準に照らし合わせても破格値であり、高度成長期の1960年代でも、交通不便な瑞江には、発展の期待も寄せられていなかったことが伺えます。
このように江戸川区内の都営新宿線の沿線は、地下鉄の新規開通という交通網の大幅な改革を経ながら、同時進行的に都市開発が進められてきたため、現代的な街並みが広がる一帯です。
そして瑞江の場合は、駅周辺が新しい街並みを形成しているのに対し、先に述べた今井橋周辺など、駅から離れた地域が、古くからの街並みを残しているという逆転現象が見られます。
では、この瑞江の町を拠点とした生活はどのようなものが想定できるか――それは一言で言えば、
「都市生活と郊外生活の両立」
です。
既に自家用車が広く普及した時代に、新たに地下鉄が延伸された瑞江は区画整理が進んでおり、駅周辺も含めて、バス通り、裏通りともに車両の通行に支障のない幅員が確保されています。コンビニエンスストアや量販店も、江戸川区の郊外では来客用の駐車場を確保している所も多く、自動車利用を想定した街並みになっています。
自家用車を想定しているとは言っても、瑞江は東京の町ですから、現代の郊外都市に見られるような、公共交通を利用した生活に著しい不便を感じる町ではありません。
都営新宿線はやや都心部をそれたルートとは言え新宿駅まで40分未満で到着しますし、路線バス網も豊富です。また、都営新宿線の駅の中でも瑞江駅周辺は商業施設が集約しており、筆者も江東区在住時代、新宿線に乗って瑞江まで買い物に来ることがしばしばありました。

駅前に大手量販店やスーパー、古書店などの多様な商業施設がそろっているので、瑞江だけで複数の用事を済ませられるのが理由でした。筆者の自宅の近くには有名な商店街がありましたが、その業種は飲食店や総菜店に特化していて、その他の日用品がそろえにくい欠点があったのです。
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