一見、無気力だが実は革命的――70年代を駆け抜けた女優「秋吉久美子」とは何だったのか

1972年のデビュー以来、第一線で活躍を続ける女優・秋吉久美子。そんな彼女の魅力について、9月刊行『秋吉久美子 調書』から作家の中川右介さんが読み解きます。


福島の文学少女が女優になるまで

 とは言え、『秋吉久美子 調書』は、まずはオーソドックスに、生い立ちから始まります。

 秋吉久美子は1954(昭和29)年に生まれ、福島県で育ちました。幼少期から本が好きで、「小さい頃から梶山季之とか川上宗薫、推理小説、時代小説から官能小説まで」何でも読む少女で、高校では文芸部の部長となり、小説も書いていました。

 1972年、高校3年の夏休みに、映画『旅の重さ』(斎藤耕一監督)に出演し、これが秋吉久美子のデビュー作となります。主役を公募していると知って、応募したのです。

『旅の重さ』では主役には選ばれませんでしたが、脇役として出ました。撮影は、受験勉強で忙しいはずの高3の夏休み。それが終わった後、「受験を控えた男の子たちのアイドルだったので、みんなから会いたいと言われて、1日に三つも四つも時間を区切ってはお話相手になってあげていました」という状況で、もともと成績はよかったのですが、大学受験に失敗します。

 高校3年生としては、激動の半年です。秋吉久美子は浪人生になるのですが、予備校へは高校の制服を着て行かなければならないこともあって、それを罰ゲームだと感じてさぼるようになります。そんなある日、アングラ芝居を見に行き、これが芸能界へ本格的に入るきっかけとなりました。

DVD『旅の重さ』(画像:松竹)

 1973年、今度は主役を射止めました。『十六才の戦争』(松本俊夫監督)です。しかしこの映画は公開が遅れ、1976年、秋吉久美子が有名になってから公開されます。その後もテレビドラマなどに小さな役で出た後、1974年3月公開の『赤ちょうちん』(藤田敏八監督)で主演して、注目を集めました。

 藤田監督は続いて同年8月公開の『妹』、11月公開の『バージンブルース』と、1年間に3作の秋吉久美子をヒロインとして映画を撮りました。ストーリーはそれぞれ異なりますが、後に藤田敏八の「秋吉久美子3部作」と呼ばれます。

 1970年代前半の東京に暮らす、どちらかというと貧しい若い女性が主人公でした。この3部作で、秋吉久美子は時代のヒロインとなるのです。

3部作には70年代の東京が冷凍保存されている


【画像】ファン垂涎! 秋吉久美子の「秘蔵写真」を見る(6枚)

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