老舗洋食チェーン「キッチンジロー」大量閉店の衝撃 原因はコロナ禍だけでなかった
2020年9月8日
お出かけ東京都心を中心に展開する洋食チェーン「キッチンジロー」が2020年9月末までに大半の店舗を閉店することを発表しました。東京に残るのは1店舗のみ。いったいなぜでしょうか。都市商業研究所の若杉優貴さんが解説します。
2018年、西日本最大手ファミレスの傘下に
それでは、キッチンジローはなぜここにきて「大量閉店」に至ったのでしょうか。
もちろん、最も大きな要因といえるのが新型コロナウイルスの感染拡大ですが、特に近年キッチンジローが参入したばかりだった「新業態」の存在がコロナ禍のなか大きな影響を与えることになったと考えられます。
東京都心を中心に展開する小規模チェーンだったキッチンジローですが、近年は競合店の増加などにより、苦戦を強いられており赤字が続いていました。
そのため、同社が手を組んだのが西日本最大手のファミレス「ジョイフル」(大分県大分市)。キッチンジローは2018年に同社の傘下となり、経営再建を図っていたのです。
ジョイフルはファミリーレストラン業界3位で、西日本を中心に約800店舗を展開しているものの、東日本には店舗が少なく、東京23区内には2015年に初進出を果たしたばかりでした。

一方で、東京都心の店舗はジョイフル赤坂店(港区赤坂)のみで、全ての店舗がキッチンジローとは競合関係になく、両社の提携はベストマッチングであったと言えるでしょう。
夜間はバル業態で「二毛作」展開
ジョイフル傘下となったキッチンジローが新たな成長戦略の柱に据えたのが「ちょい飲みへの参入」でした。
キッチンジローは2018年10月、新虎ノ門店を皮切りに、昼間は一般的なキッチンジローのメニューを、加えて夜間はアルコールやおつまみを提供するバル業態「ほろよいジロー」の展開を開始。
いわゆる「二毛作店舗」とすることで店舗の売り上げ増を図り、経営規模の拡大をめざしました。

また、2019年には多くのパート・アルバイト社員(ジョイフル本体など含め全1万6929人)を無期労働契約へと切り替えるなど、大手企業の強みを生かして従業員の待遇改善も進めました。
ほろよいジローは基本メニューのほとんどが500円という分かりやすい料金システムで人気を集め、2019年には渋谷店など既存店の転換を中心に順調に店舗網を拡大していきました。

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