都会のオアシスで感じる緑色のひと時「蔦珈琲店」|老舗レトロ喫茶の名物探訪(7)

2018年12月7日

お出かけ
ULM編集部

南青山の通り過ごしてしまいそうな隠れ家的な場所にある「蔦珈琲店」。壁一面のガラス窓いっぱいに庭木の緑が広がり、開放感溢れる店内は都会のオアシスといえる存在です。その名物は、ナチュラルに「緑」を感じられるひと時にあるといえるでしょう。


エレクトロニクスの世界から脱サラ、大後悔の日々

 蔦珈琲店を再び訪れたのは、秋深まる朝のこと。柔らかな日差しが磨かれた窓ガラスを通して店内に差し込んできて、なんて気持ちのいい場所なのか、と思いました。テーブル上のコーヒーに当たる光は、その表面に木々の葉を映し出して艶やかに潤う。「僕もこの時間帯が最も好きなんです」とマスター。

朝陽が差し込む店内は、1日の始まりを清々しい気分にしてくれる。写真は一風変わったコンビのメニュー「コーヒーとチーズ」950円(価格は税込、以下同)。コーヒーカップは大倉陶園(2018年11月20日、宮崎佳代子撮影)

 小山さんが脱サラして蔦珈琲店を開業したのは1987(昭和62)年のこと。大学では建築学を専攻し、卒業後の就職先ではエレクトロニクス関連の部署に配属。喫茶店経営とはかけ離れたフィールドでキャリアを積んできました。その一方で、大学時代からコーヒーに興味を持ち、4キロもある本格的な焙煎機を購入して実家の物置で豆を焙煎。美味しいコーヒーを追究して続けてきたといいます。

マスターの小山さん(2018年11月20日、宮崎佳代子撮影)

 責任あるポジションに就き、国内外を飛び回る日々から転じて飛び込んだ喫茶店経営の道。コーヒーのプロになりたいとの想いが高じてのことでした。

「それが転職後、自分はコーヒーを好きだと勘違いしてた、と思うくらい、何度この転職を後悔したかわかりません」(小山さん)

 自分や客の求めるコーヒーのクオリティーと利益が一致しないことがわかり、趣味でやるのとプロとしてやるのとでは、全く違うということに気付いたと話します。それでも、コーヒーのクオリティーに妥協できず、台所事情は火の車。「でも、私は本当にラッキーでした。なぜなら、お客様に恵まれたからです」と小山さん。

「恥ずかしい話ですが、月々の支払いが滞って、その催促の電話が店にかかってきたことがあったんです。そしたらその電話を切った後、お客さんが『マスター、いくら必要なの?』って聞いてこられて。そのお金を用立ててくださったんです。そんな風にお客様に助けられながら、徐々にこの商売のやり方がわかってきて、こうして30年以上続けてこられました」。

 そう話しながら、アイスコーヒー用に氷塊を取り出して、アイスピックで割るマスター。製氷機の氷を使わないのは、冷たいものはすぐに用意できてしまうから、お客さんがゆっくりできるように、時間稼ぎをするためといいます。いいお客さんがついたのは、そんなマスターの人柄含めて蔦珈琲店の人々に愛される力に思えました。

一番の名物は「緑色のひと時」


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