東大が「大学債」発行へ 投資需要の高まりも「格付け」が教育機関に及ぼすメリット・デメリットとは
2020年8月31日
ライフ東京大学がこの度、日本の国立大学として初めて大学債を発行し、資金を調達することを発表しました。発行のメリット・デメリットとは。教育ジャーナリストの中山まち子さんが解説します。
東京大学が発行に踏み切る背景
政府の「未来投資会議」の議員として名を連ねる東京大学の五神真(ごのかみ まこと)総長は2020年2月7日(金)、同会議にて国立大学が法人化の次の改革として「運営から経営」に切り替えていく重要性を訴えました。
これまで国立大学に認められている投資は付属病院や学生寮といった、事前に相当の収益が見込めるものに限定されていました。大学の研究開発を最大限に活用するため、こうした縛りをなくすため、関連法令改正をし規制緩和を求めたのです。
研究棟の増築や拡充をしようにも思うように資金を集めることができないと、それに伴い優秀な人材が流出し、大きな損失となります。
グローバル社会を生き抜くために日本国内で高い水準の研究開発や人材確保を充実させるには、いかにスピーディーに資金調達できるかがカギとなってきます。

文部科学省が2020年2月から毎月に行っている「国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議」のなかでも、東京大学の五神総長は日本の国立大学が抱えている資金面の問題について提言を行ってきました。
信用格付けはAAAを取得
東京大学の要望が通る形で2020年6月に国立大学法人法施行令が一部改正となり、大学債の発行の条件が緩和されました。
これを受け、東京大学は国立大学初となる大学債発行に向けて一気に動き出したのです。
東京大学は7月31日(金)に大学債発行に関わる証券会社や銀行の選定、日本格付研究所(JCR。中央区銀座)から債務履行の確実性が最も高い信用格付け「AAA」を取得したとホームページ上で発表しました。
AAAは、同社の格付けではNTTドコモと同じランクです。このことからも、東京大学の期待値の高さが分かります。

複数のメディアの報道によると、東京大学は10月に40年という長期間にわたる200億円規模の発行に向けて準備を進めており、注目を集めそうです。

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