【終戦75年】「俺が死んだら何人泣くべ」 特攻隊員が残した覚悟の遺書と、たったひと言の偽らざる気持ち
2020年8月10日
ライフ2020年の終戦記念日が近づいてきました。軍司令部の名を受け、特攻隊員として亡くなった若者は出陣の直前、どのような思いでいたのか。ノンフィクション作家の合田一道さんがひとりの男性に迫ります。
「太平洋ノ防波堤トナリ 死ニマス」
歓呼の声に送られて戦地に赴き、戦死したら、俺のために何人泣いてくれるだろうと、友だちと真顔で話し、「母に、姉に、それから担任の先生か」などと指折り数えていたのを、悲しいことですがいまも鮮明に覚えています。
いまでは想像もできない話ですが、そんな時代でした。
それゆえにこの書を見て、年齢が11、12歳も離れている先輩までが、少年だった自分たちとよく似た感情を抱いていたのかと、心を動かされたのです。
ほかにまだ書いたものがないかと思い、調べたところ、村永薫編『知覧特別攻撃隊』(ジャプラン)に本人の遺書が記されていました。
陸軍特別攻撃隊振武隊陸軍少尉とあり、戦死後に大尉に昇進しています。その文面を省略しながら掲げます。

父母様、啓ハ大命ヲ拝シテ往ク事ニナリマシタ。二十有余年ノ今日ニ至ル迄(まで)厚キ恩愛情ヲ受ケ、何一ツ孝行モ出来ズ御心配バカリカケ申シ訳御ザイマセン。啓ハ大君ノ御為太平洋ノ防波堤トナリ死ニマス。武人ノ名誉之(これ)ニ過グルハナシ。
君ニ忠ナリ親ニ孝ナリノ両輪コレノ道義ニ邁進(まいしん)シ、死ヲ以(も)テヨリ高ク海ヨリ深シノ君親大恩(くんしんたいおん)ノ万分ノ一アリト報イ奉ル決心ナリ。
特ニ自分ノ墓ハ不用デアリマス。亡母ノオン墓ノ側ニ寝カセテ下サイ。サヨウナラ。天皇陛下万歳、振武隊万歳
若桜屍ヲ空ニサラストモ 何惜シカラウ大君ノタメ
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