港区に漂うパリのエスプリ 日本唯一の正統派アールデコ館「旧朝香宮邸」をご存じですか

旧朝香宮邸を転用した建物として知られる港区「東京都庭園美術館」。同美術館は国内で唯一アールデコのエスプリを今に伝える建造物です。詳細を、都市探検家の黒沢永紀さんが解説します。


アール・ヌーヴォーとモダニズムの融合

 やがて直線的な表現は純粋に幾何学的な要素だけとなり、最終的に一切の装飾を取り除いた造形へとたどり着きました。これが20世紀の中盤、世界を席巻したモダニズムです。

 アールデコは、そんな時代を背景に、アール・ヌーヴォーとモダニズムの“おいしいとこどり”をしたような造形でした。

 さらに、ラジオや雑誌の普及によって、世界の未知なる地域が広く紹介され、従来のヨーロッパにはなかった各国の造形要素が取り入れられたのも大きな特徴です。

 特に1922(大正11)年のツタンカーメン墓の発見は世界に衝撃を与え、アールデコにもエジプトの造形感覚が大いに反映されています。

 加えて、ギリシャ以来の古典的な装飾要素も見境なく取り込み、もはや字面だけだと、ただのごった煮のようにすら思えますが、単なる折衷ではなく、新旧と世界各地の造形をミックスし、さらに“従来にない新しい造形”を生み出したのがアールデコでした。

エンパイア・ステート・ビルも影響を受けた

 ちなみに日本もアールデコ博に参加していますが、“新しい造形”を国内各地の伝統工房に依頼するも、でき上がってきたのは従来と変わりばえしないものばかり。

 結局、明治時代には受けがよかったものの、とうに飽きられていた純和風の工芸品を展示せざるを得ませんでした。

 日本館のスペースはもともとアメリカ館の建設予定地だったようですが、新しい造形を提出できないという、アメリカにしてはいささか謙虚な理由で辞退しています。

 しかし視察に来ていたアメリカの取材班は、アールデコ博からそのエッセンスをしっかりと持ち帰り、大戦景気に物を言わせて建設したのが、みなさんもご存じのエンパイア・ステート・ビルやクライスラー・ビルをはじめとした、ゴージャスなアールデコの摩天楼です。

 かたや新しいものを提出できなかった日本は、アメリカのように新しいものを持ち帰ることも、あまりできませんでした。

仏デザイナーと内匠寮のコラボが生み出した館


【画像】まさに特異な存在? アールデコを継承する「旧朝香宮邸」の内部を見る

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