電車を降りたら『キャプテン翼』 葛飾区「四つ木」は機動力に満ちあふれた街だった【連載】東京下町ベースキャンプ(2)
2020年8月8日
知る!TOKYOかつて江戸近郊の農村部だった東京東部の「下町」。そんな同エリアを、ブログ「限界ニュータウン探訪記」管理人の吉川祐介さんは新たな「拠点」と位置付け、再解釈を試みています。
「機動力」の高い生活には最適
四つ木は、商業地域と住宅地の境目が曖昧な地域でもあります。
渋江商店街、まいろーど四つ木商店街は共に今日では住宅との混在が進み、平和橋通り沿いのイトーヨーカドー四つ木店(葛飾区四つ木2)は、郊外の巨大スーパーのような広大な商業地の中にあるものではなく、住宅密集地に囲まれた立地で、店舗の真裏にまで家屋が近接しています。

町のあり方として、本来なら利点として語られないこの四つ木の特性は、「機動力」を高めた身軽な生活をする上ではむしろ「合理的」と言えます。
取りあえず安く寝床と住所が取れて、近場で日用品が手早くそろえられればそれで良いのです。時間はすべて自分の用事に使うという行動的な人にとって、この利便性と賃料相場は大きな魅力のはずです。
土地の水害リスクとその対策
もちろん、四つ木の安さには別の理由もあります。
周知の通り23区東部の下町は海抜が低く、その大部分が豪雨時の浸水リスクを抱えていますが、特に四つ木周辺は、荒川、中川、江戸川のいずれが氾濫しても地区外退避を求められる重層的な浸水想定区域に指定されています。葛飾の歴史は、絶えることのない水害との闘いの歴史でもありました。

天災は時に人知を超える規模で牙をむくため、ここで無責任に楽観論を述べることはできません。しかし葛飾区は、過去の犠牲の経験を基に、23区内でも特に災害対策の啓発に主眼を置いた斬新な施策を取り入れている自治体です。
従来より葛飾区内の全ての避難所には水害時の救助用ボートが配備されていますが、2017年に自治体では初の試みとなる水陸両用車を導入。これは実用面の他に、児童への防災意識の啓発を目的とした導入でもあります。
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