高輪ゲートウェイ駅に現れた「ひとり用シェアオフィス」、居心地を検証する

  • おでかけ
高輪ゲートウェイ駅に現れた「ひとり用シェアオフィス」、居心地を検証する

\ この記事を書いた人 /

若杉優貴のプロフィール画像

若杉優貴

都市商業研究所

ライターページへ

JR高輪ゲートウェイ駅の3階にある「スターバックスコーヒー 高輪ゲートウェイ駅店」。同店は日本初の機能を備えたスタバです。その詳細について、都市商業研究所の若杉優貴さんが解説します。

日本初の機能を備えたスタバが高輪に

 港区・高輪に2020年春、日本初の機能を備えたスターバックスコーヒー(以下、スタバ)の新業態店舗が誕生しました。

 そのキーワードは「多様な働き方にフィットする店舗」。これまでのスタバとは一体どのように違うのでしょうか。筆者(若杉優貴。都市商業研究所)がスタバトラベラー「るた」さんと体験してきました。

 スターバックスコーヒーの新業態店舗「スターバックスコーヒー 高輪ゲートウェイ駅店」(以下、高輪ゲートウェイ駅店)が出店したのは、2020年3月に開業したJR高輪ゲートウェイ駅(港区港南)の3階。

高輪ゲートウェイ駅に出店したスターバックスコーヒー(画像:若杉優貴)



 都営浅草線の泉岳寺駅から歩いて5分ほどで、店舗の入り口は駅の改札外となるため、JR利用者でなくとも入りやすい雰囲気です。

 店の前に立つと、これまでのスタバでは見慣れない「SMART LOUNGE(スマートラウンジ)」の看板が目に入ります。

多様な働き方を提案

 この「スマートラウンジ」こそが、高輪ゲートウェイ駅店の1番の特徴。

高輪ゲートウェイ駅に出店したスターバックスコーヒー。入店は改札外から。「スマートラウンジ」設置店の看板が光る(画像:若杉優貴)

「スマートラウンジ」は、スタバが「多様なニーズや利用シーンに応える空間」と位置付ける席で、店内には仕事の打ち合わせやグループでの利用に対応した大きなテーブルと、区切られたひとり掛けの半個室席が設置されています。スタバにこうした席が導入されたのは高輪ゲートウェイ駅店が全国初のこと。

 店内は、従来の店舗と同様に無料Wi-Fiが提供されているほか、各席には電源も設置されており、スタバ内で「会議」や「テレワーク」などをすることも可能。まさに、「多様な働き方」に対応した店舗です。

店内に登場したシェアオフィス

 さて、「多様な働き方」をテーマとした高輪ゲートウェイ駅店が導入した「スタバ初」の設備はスマートラウンジだけではありません。なんと店内には「シェアオフィス」も設置されているのです。

 そのシェアオフィスとはJR東日本が展開する有料のカプセル型ひとり用シェアオフィス「ステーションブース(STATION BOOTH)」。

カプセル型の有料ひとり用個室「ステーションブース」(画像:若杉優貴)

 ステーションブースは、これまで東京駅や池袋駅構内などでも導入されていますが、カフェ内に設置されるのは初となります。

「スタバの個室ブース」果たして居心地は

 今回「ステーションブース」を利用したのは、スタバトラベラー・るたさん。

 店内に入る前にるたさんが取り出したのは、スマホ。この高輪ゲートウェイ駅店にはスタバ公式アプリから事前に注文し、キャッシュレス決済ができる「Mobile Order & Pay」が導入されています。

 そのため、来店前に注文した商品を専用のカウンターで受け取ることが可能です。ちなみにこのサービスは東京、名古屋、大阪の一部店舗でおこなわれているとのこと。

「MOBILE ORDER PICK UP」の事前注文商品は専用受け取りカウンターから受け取ることができる(画像:若杉優貴)



 ステーションブースは店内の奥に設置されており、利用料金は通常15分250円。取材時はキャンペーン中のため、15分150円で利用することができました。

 事前にステーションブースの会員登録をしておけば、予約することが可能。もちろん、他駅のステーションブース会員でも予約できます。

 つまり「Mobile Order & Pay」で商品を予約し、「ステーションブース」を予約しておけば、たとえ混雑する時間帯であっても待たずにコーヒーを楽しめるのです。

ひとり用シェアオフィスの機能性は?

 取材時には近くの一般席は埋まっていたものの、ステーションブースの利用者はいませんでした。

ステーションブース。2台設置されている(画像:若杉優貴)

 ブースの室内は黒と木目の落ち着いた雰囲気でまとめられており、内部はコンパクトですが、机に液晶モニター、プラグ電源、USB電源、緊急ボタン、そして消毒液が完備されています。

 内部には「抗菌・抗ウイルス・防臭」のシールも貼られており、「個室」ということもあり、新型コロナウイルスなどの感染症対策が気になる人にもオススメできます。

 ちなみにるたさんによると、「ひとりで短時間使うには十分な広さだが、近くに客が居る場合は話し声や足音が聞こえることもある」とのこと。

「他人の話し声や足音などがあまり気にならない」という人は、無料のスマートラウンジの半個室を利用しても満足できるでしょう。ただし、スマートラウンジの半個室は予約できません。

モバイルバッテリーの貸し出しもOK

 さて高輪ゲートウェイ駅店には、従来のスタバと同様の一般席も設けられています。

 高輪ゲートウェイ駅店は大きな窓が特徴で、一般席からは駅構内を一望することができますが、スマートラウンジ・ステーションブースはともに窓が設けられていません。そのため、「電車と新駅を見ながらコーヒーが飲みたい!」という人には一般席のほうがオススメです。

駅構内が見渡せる一般席。一部の席には電源も設置(画像:若杉優貴)



 これまでのスタバと同様、一般席の一部に電源が設置されているほか、高輪ゲートウェイ駅店ではモバイルバッテリーの貸し出しなども行っています。

 営業時間はスタバと「スマートラウンジ」が7時から22時まで、「ステーションブース」が21時半まで(感染症予防のため短縮営業・臨時休業をおこなう場合あり)。なお、スタバ店内には改札外からのみしか入ることができないためご注意を。

未来の街の拠点を目指すスタバ

 さて現在は空き地が目立つ高輪ゲートウェイ駅前ですが、2024年までに駅前にはJR東日本による品川再開発プロジェクト「グローバルゲートウェイ品川」が完成する予定です。近い将来には、商業施設や大型オフィスが広がることとなります。

高輪ゲートウェイ駅前の整備計画。スタバから見る風景も数年後には大きく変わりそうだ(画像:JR東日本)

 スターバックス・コーヒー・ジャパン(品川区上大崎)の店舗開発・サイレンリテイル統括オフィサーである石原一裕さんは、この高輪ゲートウェイ駅店の開店に際し、「スターバックスはまだ誰も見たことのない未来の街をお客さま、そして地域の方々とともに作っていける店舗、拠点を目指します」と話しています。

 今後も地域のニーズに合わせた「驚きのスタバ新業態」が登場するかも知れません。

関連記事