時代劇と大河ドラマのいいとこ取り? 『半沢直樹』が視聴率No.1ドラマになったワケ
2020年6月30日
ライフ待ちに待ったドラマシリーズ『半沢直樹』が7月19日から放送開始します。今回は放送を記念して、その人気の理由に迫ります。解説は、社会学者の太田省一さんです。
逆転劇を呼ぶ「出世への執念」
ただ、『半沢直樹』はあくまで現代劇。そして企業の世界を描いたもの。そこには多くのサラリーマンが身につまされるような現実も描かれていました。
半沢直樹は、例えば映画『釣りバカ日誌』のハマちゃんのように、出世など気にしない自由人なわけではありません。
むしろ逆で、サラリーマンとして出世したいという野望を抱いています。そこには彼の父親のことなど理由があるのですが、いずれにせよその出世への執念が逆転劇を呼ぶわけです。

むろんメガバンクの出世競争は熾烈(しれつ)で、派閥争いも絡んで一筋縄ではいきません。今日は「勝ち組」だったはずが、なにかのきっかけで明日には「負け組」になりかねない。そこを半沢直樹が自らの知恵や人脈を駆使し、決してくじけぬ精神力で生き抜いていくところにこの作品の見どころはありました。
世のサラリーマンのなかには、その姿に自分の現実と理想を重ね合わせたひとも少なくなかったのではないでしょうか。
かつての「NHK大河ドラマ」を想起
同じように、苦境を乗り越え、最後には成功する人物を主人公にしたのが、かつてのNHK大河ドラマだったのではないかと思います。
実在した歴史上の人物を主人公に据え、その生きざまに人生のヒントを得るという教訓ドラマ的側面が大河ドラマにはありました。

大河ドラマは、1963(昭和38)年に始まっています。つまり、高度経済成長の最中に誕生したことになります。
驚異的な経済成長が続くなか、その当時のサラリーマンも出世競争にいや応なしに巻き込まれました。
そのなかで戦国時代の武将や幕末の志士の立身出世、人心掌握術を史実に基づいて描く大河ドラマは、サラリーマンにとっての教科書のようなものでした。原作にも、山岡荘八、吉川英治、司馬遼太郎などサラリーマンに人気の作家たちの作品が多く選ばれていました。
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