「シルバーアクセ」ブーム消滅で窮地に立った「アメ横」が生き残りをかけて選んだ2つの道

年末の買い出し風景でおなじみの上野のアメ横。そんなアメ横の歴史と今後の展望について、筑波大学大学院准教授の五十嵐泰正さんが解説します。


立ち飲みや食べ歩きが人気に

 私(五十嵐泰正。筑波大学大学院准教授)が2012年に大学のゼミで行った調査によれば、アメ横に数回しか訪れたことのない層は「雰囲気を味わいに」という目的が多く、頻繁に訪れる層は「欲しいものが安い」という「アメ横商法」に照準した目的が多く、対照的でした。

「雰囲気を味わいに」という客の「コト消費」(体験や思い出などに価値を見いだす消費)需要をつかむ業態は、やはり立ち飲みや食べ歩きです。

 アメ横の雑踏と騒がしさをつまみに飲み食いする経験は、他には代えがたい魅力として国内外の観光客に受けました。その結果、例えば単に魚を売るだけでなく、店先で飲食できる店舗が人気を集めるようになりました。

 また、ドネルケバブや中華風串焼き、丸焼きなどのファストフード屋台は、外国人店主が先駆けてきた領域です。

2000年代から目立つようになった外国人経営の屋台(画像:五十嵐泰正)

 これは、物件の家賃が高止まりしているアメ横にリスクを負って出店し、貪欲に稼ごうとする人たちの中に外国人が目立つということを意味しており、「買い物の街」から「観光の街」に移行してきたトレンドを確実にとらえて、「売れるモノを売ってきた」ヤミ市以来の伝統を近年最も体現している存在と言えるでしょう。

パンデミック後のアメ横の行方

 しかし前回の記事「緊急事態宣言下のアメ横商店街がこぞってマスクを売りまくった歴史的背景」で書いたとおり、緊急事態宣言下でたくましくマスクや消毒液を売ってきたアメ横の商店ですが、もちろんコロナ禍で相当な苦境に陥っています。

 近年のアメ横を取り巻く環境変化の中で、バーチャル店舗を主力としていった店はともかく、観光需要に支えられていた屋台や立ち飲み屋は、非常に厳しい状況にあります。インバウンドは街から文字通り「蒸発」し、回復のめどは全くたっていません。

 政府はビジネスや留学、そして観光などの短期滞在と、出入国を段階的に緩和する方針を示していますが、観光客が法的に入国できるようになっても、世界中の潜在的な観光客のマインドが回復するには相当時間がかかりそうです。

「アメ横らしさ」がかえってリスクに?


【画像】緊急事態宣言下の「アメ横」の様子を見る

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