2020年初夏、僕たちは立ち止まらざるを得なかった【連載】散歩下手の東京散歩(3)

散歩とは、目的を持たずに歩くことも、寄り道しながら目的地を目指すことも、迷子になってしまうことも、迷子になりたくなくて右往左往することも、すべて包み込む懐深い言葉。出版レーベル「代わりに読む人」代表で編集者の友田とんさんが、日常の風景が一変した2020年初夏の日の自分を回顧します。


右へ左へデタラメな散歩

 公園を見回すと、サッカーボールを蹴る子供たち、ただおしゃべりしているカップル、椅子に将棋盤を広げて対局するお年寄り、自転車に積んだラジカセの前に集まってタバコを吸いながらラジオに耳を傾ける人たちがいて、特に将棋を指すお年寄りは立て続けに何日か来てみると、どうも毎日集まって将棋を指しているようで、近所に青空の下でこんなに熱心に将棋を指すお年寄りがいることに私は初めて気づいたのでした。

 しばらくすると日差しでまぶしい上に、風が強く吹きはじめたので、落ち着いて本を読んでいられません。私はそこでいよいよ近所の公園からさらにどこかへと散歩に出掛けることにしたのです。

曲がり角を右へ左へ。ときどき立ち止まりながら、目的のない散歩(画像:友田とん)

 しかし、散歩に不慣れな私はどうやったら「いい散歩」になるのかと不安でたまりません。

 交差点のたびに、このまままっすぐ行ってもいいのだろうか。右に曲がったり左に曲がったりしなければいけないのではないか。ずんずんまっすぐ歩いて行ってしまったら、それは上手な散歩とは言えないのではないかと心配になってしまうのです。

 しかし、デタラメに角を右へ左へと曲がって行きさえすればいい散歩になるとも限りません。では、どうしたらいいのでしょうか?

立ち止まると見えるもの

 どうしたら上手に散歩ができるのでしょう。私はこれまでつい目的地に向かってまっすぐ歩いてきたのです。正直、私は足にも体力にもそこそこ自信があり、少々の距離は歩いて行ってしまいます。疲れて立ち止まる人のことを気にもとめていなかったのかもしれません。

 そこで突然、こうした「立ち止まる必要のない」ということが私を散歩下手にしてしまったのではないかと思い当たったのです。つまり、立ち止まらざるをえないとき、私たちは立ち止まったところで目に入ってくるものごとに疑問や興味を抱き、記憶にとどめるということなのです。

背の高い重機。何を建設しているのだろう(画像:友田とん)

 道を歩いていて、信号や踏切で立ち止まる。そこで何かが通り過ぎるのを見る(特急電車でしょうか?)。歩いていたらざーっと雨がきて、軒先で雨宿りをする。雨が上がり、鳥が鳴き出すのを聴く(スズメでしょうか?)。立ち止まったところにこそ、何か私の散歩を、真の散歩にしてくれるものが現れるのです。

 そこでふと思い出したのが、小さい頃にずっと年の離れたいとこを見ていた時のことです。

お手本など要らなかった


【画像】立ち入り禁止……遊ぶことを禁じられた公園遊具

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