上京し、恋や死を見つめ続ける「あいみょん」が歌詞に「東京」を描かないワケ

人気若手シンガー・ソングライター、あいみょん。兵庫県西宮市から上京してきた彼女の書く歌詞には、「東京」の街を描いたものは決して多くないと、法政大学大学院政策創造研究科教授の増淵敏之さんが指摘します。それはなぜなのでしょうか。


故郷から遠く離れた場所と母親

 浜田省吾は1976(昭和51)年のソロデビュー曲の「路地裏の少年」で、呉、東京、彼の通っていた神奈川大学のある横浜らしき場所を、やや抽象的な表現で描いています。

 この楽曲が収録されているデビューアルバム「生まれたところを遠く離れて」の裏ジャケットは、まだ高層ビルが林立する前の西新宿の木造アパート街の風景の中にいる彼とひとりの女性の写真です。

あいみょんが強く影響を受けたと語る、浜田省吾のファーストアルバム「生まれたところを遠く離れて」(画像:浜田省吾公式ウェブサイト)

 あいみょんにとって1枚めとなるミニアルバムに収録された「夜行バス」には、夜行バスの片道約8時間の旅が描かれています。そして主人公はバスの中から母親にメールをします。そこには、ひとりの女性が夢を追うための苦しさが吐露されています。

 おそらくバスの向かう先は東京。また浜田のアルバム「生まれたところを遠く離れて」に収録されている表題曲にも、車窓越しに見送る母親が登場します。

 呉も、西宮も東京からは遠い場所にあります。そして故郷の象徴としての母親です。あいみょんも上京当時は東京に対して「故郷を遠く離れ」た場所という思いがあったのでしょうか。

楽しくゴージャスだけが東京か

 浜田省吾の「東京」はシングル曲ですが、1980(昭和55)年に発売されたアルバム「Home Bound」に収録されてもいます。浜田本人によれば沢田研二「TOKIO」(作詞・糸井重里)へのアンサーソングだったとのこと。

 この当時、浜田は貧富の差をテーマとして取り上げることも多かったのですが、その後、発売された尾崎豊の「17歳の地図」にも同曲「東京」は影響を与えているとみてもいいでしょう。

 それぞれの東京という都市との向き合い方について、さらに見ていきましょう。

「東京」というタイトルの曲はあまたありますが、浜田の作品では冒頭に「プールサイドで寝そべる金持ち」と「真夏の街を仕事を探してさまよう人」が対比されます。

 時に貧富の格差をテーマに取り上げる彼の視点や指摘は、バブル崩壊以降、そしてコロナ禍の2020年現在、あらためて正しかったように思われます。

 これは彼が、東京で生活して以降の蓄積が育んだ視点なのかもしれません。

自殺現場に着想したデビュー曲


【初々しい】あいみょん インディーズデビュー当時を見る

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