周囲わずか8.7km、聖と俗が交錯したかつての流刑地「八丈小島」をご存じですか【連載】東京無人島めぐり(2)
2020年6月6日
知る!TOKYO東京都内に330もある島――その中でも無人島の歴史についてお届けする本連載。2回目となる今回の島は「八丈小島」。案内人は、ライター・エディターの大石始さんです。
昭和まで生きていた民間信仰
また、八丈小島には古来からの風習も伝えられてきました。『ふるさとはヤギの島に 八丈小島へ帰りたい』から抜き出してみましょう。
「小さな小さな島だけど、島には島だけの風習が残っていたんです。例えば、小島では女性を大事にするために、他火小屋(女性が出産時や生理の時などに休む場所)という小屋を作り、赤ちゃんが生まれる前後は、そこで休ませてあげていた。また、人が亡くなると土葬にし、死後七年たつと、死者の墓を掘りかえし、その骨をあらためて供養し、魂を宇宙に送り届けてあげたりするんですよ」(漆原智良『ふるさとはヤギの島に 八丈小島へ帰りたい』)
ここでいう「他火小屋」とは「女性を大事にするため」のものというより、お産と月経を不浄のものとするケガレ意識から生まれたもの。

同様の風習は他の地域でも見られるものですが、そうした民間信仰が八丈小島にも伝わり、昭和に入ってからも継承されてきたのです。
漂流民や流人を供養する祠も
また、八丈小島には「バク」と呼ばれる風土病があり、明治時代には島民の半分がバクにかかったといいます。

この風土病は蚊を媒介して体内に潜入したフィラリアの一種(マレー糸状虫)が増殖することで発症するもので、八丈小島はこの風土病の日本で唯一の流行地でもありました。
のちに予防薬が開発されたことでバクが流行することはなくなりましたが、流行の遠因は島民の原始的な生活にあったともいわれています。

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