コロナ時代こそ聞くべき? 疫病退散を願う江戸の庶民を描いた『風邪の神送り』【連載】東京すたこら落語マップ(10)

落語と聞くと、なんとなく敷居が高いイメージがありませんか? いやいや、そんなことありません。落語は笑えて、泣けて、感動できる庶民の文化。落語・伝統話芸ライターの櫻庭由紀子さんが江戸にまつわる噺を毎回やさしく解説します。


川の中へ風邪の神を送り出したが……

 町内の衆はにぎやかに「おーくれ送れ、風邪の神を送れ、どんどん送れ」とはやしたてていると、どこかから「おなごり惜しい」と声がする。

「誰でい、そんなことを言ってるのは。見当つけて引きずりだしちまえ」

「おーくれ送れ、風邪の神を送れ、どんどん送れ」

「お名残惜しい」

「この野郎だな、やい、かぶり物をとって顔を見せろ」

と町内の衆が寄ってたかってかぶり物を取ってみると、近所の薬屋の息子であった。風邪の神が居なくなると、患者がいなくなってしまい商売上がったりというわけだ。すったもんだの末にようやく風邪の神を川の中へ送り出した。

 その日の夜、川で夜網を打っている漁師の網に大物が引っかかった。

「なんだ、てめえは」

「私は風邪の神だ」

「なるほど、それで夜網(弱み)につけ込んだのか」

※ ※ ※

 サゲ(落語のオチ)は、「弱みにつけ込む風邪の神」の慣用句から。原話は1776(安永5)年、上方(関西地方)咄(はなし)集『夕涼新話集』の「風の神」です。

 落語では風邪の神様を送ることを渋るのが薬屋となっていますが、原話ははやり病もなく暇で借金のあるヤブ医者となっています。

 風邪がはやり患者が増えることで借金を返すことができるとふんだヤブ医者が、町内で風邪の神送りが行われていることを知り、「はて、いらざる殺生を」とぼやくというオチです。

都内に残る疫病の歴史


【地図】都内にある三つの「疫病退散スポット」を確認する

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