テレワークならぬ「寺ワーク」がオヤジギャグのようで、実はとっても理にかなっている理由

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テレワークならぬ「寺ワーク」がオヤジギャグのようで、実はとっても理にかなっている理由

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港区芝にある 正伝寺で2020年5月25日(月)から、テレワークならぬ「寺ワーク」と名付けた本堂の無料開放が始まりました。ダジャレかな? と、あなどることなかれ。お寺はこの上なくテレワークに向いた場所でもあるようです。

テレワーク難民の駆け込み寺

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う「緊急事態宣言」は2020年5月25日(月)に東京を含む全47都道府県で解除される見通しです。外出に対する制限が少しずつ解かれる一方で、「3密」を避けるライフスタイルは今後も続きそうです。

 テレワークする場所がない、在宅での作業は難しい……そんな悩める「テレワーク難民」に向けて、港区芝にある正伝寺(しょうでんじ)が、2020年5月25日(月)から29日(月)までの5日間、無料で開放されています。

 まさに現代ビジネスパーソンのための「駆け込み寺」といった取り組みは、その名もずばり「寺ワーク」。テレワークとかけたダジャレですが、あなどることなかれ。お寺は、テレワークをするのにとても理にかなった場所でもあるようなのです。

お寺の本堂でテレワーク、いかがですか?(画像:正伝寺ウェブサイト)



 企画したのは、寺院での宿泊サービスなどを提案・運営するシェアウィング(千代田区平河町)で、本堂の無料開放は初めての試み。同社代表の雲林院奈央子(うんりいん なおこ)さんによると、これまでのところ30代女性など会社勤めの人を中心に問い合わせや予約が相次いでいると言います。

もとは五輪需要を見込んでいた

 本来は、2020年夏に開かれる予定だった東京オリンピック・パラリンピックの開催によるテレワーク需要を見込んで、年初から準備を進めていたという今回の企画。

 しかし、くしくも新型コロナウイルスの感染拡大によって五輪は延期。一方でテレワーク需要はというと、より切実なニーズとして会社員たちの関心を集めることとなりました。

テレワークができる正伝寺の本堂(画像:シェアウィング)



 会場となる本堂は、法話や怪談話をする普段の催しなら200人前後を収容できる広さがあるそうですが、「3密」を避けるために今回は定員を10人前後と想定。フリーWi-Fiや作業用デスクを用意し、「お子さまの同伴も可」としています。

民衆の救済こそ本来の役割

「お寺は、テレワークにもとても適した場所」と力説する雲林院さん。それはいったいなぜでしょうか?

「本堂は広いので『3密』を避けられますし、何より静か。さらにきれいに掃き清められていますから、自宅だとなかなか作業に集中できない、という人にもお薦めしたい環境が整っています」

 さらに、

「お寺はもともと、地域の人々の困りごとに寄り添うためにある場所です。今回のような状況で何らかのお役に立ててこそ、本来の役割を果たせるというもの。こうした取り組みがより多くのお寺に広まってほしい、と考えています」

お寺の数はコンビニより多い

 文化庁の宗教統計調査(2019年度版)によると、2018年12月31日時点の全国の寺院(宗教団体)の数は7万6872に上ります。

 一方、日本フランチャイズチェーン協会の統計で全国のコンビニ店舗数は5万5772軒(2020年4月現在)。よく言われる「お寺の数はコンビニより多い」という話は本当なのでした。

 多くの場合、民衆を救済する目的で全国各地に多数建立されて以来、変わらずその役割を果たしてきたお寺。コロナ禍の現代にその存在意義をあらためて感じる人も、少なからずいることでしょう。

正伝寺の外観(画像:(C)Google)



「寺ワーク」の実施日時は25~29日の10時から16時で、状況に応じて期間延長も検討中だそうです。利用には事前登録が必要です。

 ちょっと気分を変えて仕事をしたいとき、静かに気持ちを整えたいとき「寺ワーク」という選択肢はいかがでしょうか。

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