かつては「しょっぱくて硬いもの」……日本人のチーズ観を覆した「チーズケーキ」の偉大なる歴史【連載】アタマで食べる東京フード(4)

味ではなく「情報」として、モノではなく「物語」として、ハラではなくアタマで食べる物として――そう、まるでファッションのように次々と消費される流行の食べ物「ファッションフード」。その言葉の提唱者である食文化研究家の畑中三応子さんが、東京ファッションフードが持つ、懐かしい味の今を巡ります。


伝統と物語が詰まった名品菓子

 日本に本格的フランス菓子をもたらした偉大なパティシエであり、フランスの伝統への強いこだわりを持っていたルコントさんですが、唯一の例外としてこのチーズケーキを大切に作り続けました。ふたりの友情の証しであると同時に、レシピ自体の完成度も高かったからでしょう。

 ルコントさんは亡くなりましたが、ミセス・アンディンケン直伝の味を今もしっかりと受け継いでいるのが、千代田区麹町の「パティシエ・シマ」です。

閑静なお屋敷街、東京・麹町にある「パティシエ・シマ」(画像:畑中三応子)

 グランシェフの島田進さんは、コーシャがあった頃に「ルコント」でチーフとして働いていました。現在、日本洋菓子協会連合会会長をつとめる洋菓子界の重鎮であり、パティシエ・シマはパリ「ピエール・エルメ」で経験を積んだ子息、徹さんと二人三脚で営む名店です。

 そのレシピはというと、一般的なチーズケーキはクリームチーズで作るのに対して、カッテージチーズを使っていることが、ミセス・アンディンケンから続く奥義です。ベイクドタイプでありながら、レアタイプにも匹敵するみずみずしさとなめらかさ、濃厚さと、酸味のきいたさっぱりした口あたりが共存し、たしかにどのチーズケーキとも違います。

 70年代、流行の最先端にいた人たちが夢中になった味だと思うと、おいしさもひとしお。チーズスイーツ好きなら1度は食べてみてほしい、物語が詰まった逸品です。


【画像】進化し続けるチーズケーキ。全て通販で購入可

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