かつては「しょっぱくて硬いもの」……日本人のチーズ観を覆した「チーズケーキ」の偉大なる歴史【連載】アタマで食べる東京フード(4)

味ではなく「情報」として、モノではなく「物語」として、ハラではなくアタマで食べる物として――そう、まるでファッションのように次々と消費される流行の食べ物「ファッションフード」。その言葉の提唱者である食文化研究家の畑中三応子さんが、東京ファッションフードが持つ、懐かしい味の今を巡ります。


男性ファンも獲得したその魅力

 はやったと思ったらすぐに消える通常のブームとは違って、チーズケーキブームは長期にわたって続いたのが特徴です。

 流行の発信源になったのは、前回の記事(2020年4月23日配信「超高級デザートだったクレープを庶民の「定番スイーツ」に変えた立役者は誰だ?」)のクレープと同様、『アンアン』と『ノンノ』を中心とした女性雑誌でした。

 創刊時のアンアン編集部は、チーズケーキのおいしい店が集まっていた港区六本木にありましたし、ノンノ編集部は編集長をはじめチーズケーキ好きがそろっていたそうです。

「パティシエ・シマ」のチーズを使った定番菓子はほかにも、フランスの生チーズを使った「クレーム・アンジュ」(左)、2種のクリームチーズをブレンドした「スペシャルチーズケーキ」(右)などがある(画像:畑中三応子)

 両誌とも、チーズケーキ特集には熱が入っていました。なにより強調されたのは、甘さをおさえた「大人味」であることです。

 スイーツ男子が登場するのははるか先で、男がケーキのことをあれこれいうのは恥とする風潮がありましたが、チーズケーキは男性ファンも獲得したのが画期的でした。男女関係なく、チーズケーキの味が分かるのが「おしゃれでかっこよい」こととされたのです。

 大手メーカーで一番早く、1969(昭和44)年に発売したのは「モロゾフ」(神戸市)です。当時の社長がベルリン訪問時、何気なく食べたケーゼクーヘン(ドイツ語でチーズケーキ)のあまりのおいしさに衝撃を受け、帰国後すぐにレシピを研究開発したそうです。

 しかし、ブームに火をつけたのは、1970年3月3日発売のアンアン創刊号でカメラマンの加納典明が「抜群にうまい」と絶賛した六本木「コーシャ」のチーズケーキだったと、私(畑中三応子。食文化研究家、料理編集者)はにらんでいます。

人から人へ受け継がれたレシピ


【画像】進化し続けるチーズケーキ。全て通販で購入可

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