日常生活に少しの彩りを――都電荒川線沿いに咲く「バラ」を巡る物語

新型コロナ禍でもちょっとした楽しみは作れるもの。そのひとつが街の風景です。今回は都電荒川線の線路端に植えられた「バラ」について、フリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。


線路端のバラの特徴

 一方、都電沿いの花の代名詞にもなっているバラは、線路端に植栽されています。手を伸ばせば届きそうなぐらいの距離です。わざわざ下車をしなくても、車窓からでも存分に楽しむことができるのです。

 都電沿いに植えられたバラは、もともと荒川区が地元住民団体と協力して官民共同で植樹を始めた事業でした。荒川区と地元住民団体で取り組んだバラの植栽には、大きな特徴があります。

 今般、バラ園はあちこちに整備されています。それらのバラ園は、バラの種類ごと面状に植栽されています。

都電荒川線(東京さくらトラム)の路線図(画像:東京都交通局)

 一方、都電沿いのバラは線路に沿うよう、線状に植えられているのが特徴です。荒川区が都電沿いにバラの植栽を始めた頃、そうした線状に植栽されたバラは珍しいものでした。

 またバラ園などは入園料がかかる一方、都電沿いのバラは無料で誰もが鑑賞できます。そうした開放的な空間をウリにしていましたが、誰もが自由に楽しめるため、心ない不届き者によって盗掘被害もたびたび起きていました。

 盗掘された一画は、はげ山のように土がむき出しなりました。華やかなバラが咲き誇る都電沿いの一部分が、みすぼらしくなってしまったのです。

荒川区と地元団体の奮闘

 荒川区と地元団体は見栄えを整えるべく、盗掘された一画に再びバラを植栽します。しかし、以前とは異なるバラを植栽してしまい、統一感がなくなってしまいます。

 これは、予算の問題やバラ植栽事業の担当者が交代していて以前に植えていたバラの種類が把握できていなかったことが理由です。

 まさに、お役所仕事ともいえる話ですが、これが「ケガの功名」につながります。

都電荒川線の荒川遊園地前~小台間に咲き誇るバラと都電。写真は2019年の様子(画像:小川裕夫)

 一見すると、都電沿いのバラは、異なる種類のバラが入り乱れるように見えます。それが奏功するのです。きちんと整備されたバラ園では見ることができない数種類のバラが混ざって咲く風景が、かえって評判になったのです。

 評判が高まるにつれ、荒川区はその後もバラの植栽事業に力を入れていきました。住民団体の活動も活発になり、現在は約4kmの区間に約140種1万3000株のバラが咲き誇るようになっています。

荒川区を代表する花となったバラ


【画像】花言葉は「愛」と「美」 目にも鮮やかなバラの花々を見る(10枚)

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