スガシカオ『オバケエントツ』――光化学スモッグ世代による下町への愛憎物語 荒川区【連載】ベストヒット23区(18)

人にはみな、記憶に残る思い出の曲がそれぞれあるというもの。そんな曲の中で、東京23区にまつわるヒット曲を音楽評論家のスージー鈴木さんが紹介します。


ラップがうまかった伊集院光

 荒川区のことを直接的に歌った珍しい曲として、荒川ラップブラザーズの『アナーキー・イン・AK』(1992年)があります。知名度は関東ローカルかもしれません。ニッポン放送で1991(平成3)年から1995年にかけて放送されていた『伊集院光のOh!デカナイト』というラジオ番組の中で生まれた企画物。

 荒川ラップブラザーズとは、荒川区出身の伊集院光と、いわゆる「小室系」の一員として知られた久保こーじのユニットで、『アナーキー・イン・AK』の「AK」とは荒川区のことを指します。

1992年3月に発売された、荒川ラップブラザーズの『アナーキー・イン・AK』(画像:ソニー・ミュージックレーベルズ)

 先日、DJとして私(スージー鈴木。音楽評論家)がレギュラー出演しているラジオ番組『9の音粋』(BayFM 月曜21~23時)で、この曲をかけたのですが、単なる企画モノと思いきや、音楽的に聴きどころの多い、実にウェルメイドな出来に驚きました。

 まずびっくりしたのが、伊集院光のラップのうまさ。オールドスクールなラップなのですが、さすが、現在に至るまでラジオスターの座をほしいままにしている伊集院光、その滑舌がさえ渡るラップは見事の一言。

 さらに素晴らしいのは、伊集院光による歌詞です(作詞名義「HIKARU」)。1970年代から1980年代に至る荒川区の風景が、見事に描かれています。その風景とは、空き巣の出没や、勉強ができない子ども、校内暴力、暴走族という、荒廃した下町の風景。

 多少誇張もあるのでしょうが、幼い頃の伊集院光には、大なり小なり「荒れた荒川区」が見えたのでしょう。締めもいい――「♪どんなものにもなれると思って 髪かきむしって見たAK」。

スガシカオのさえた「下町感覚」


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