人情か利便性か、はたまた刷新か 新型コロナ禍で「駅前商店街」は今後どうなる?
2020年5月10日
知る!TOKYO現在、新型コロナ収束後の社会や経済のあり方について、さまざまな議論が行われています。今回は「商店街」という視点からそのあり方について、IKIGAIプロジェクト まちづくりアドバイザーの百瀬伸夫さんが解説します。
街の発展は商店街と再開発との共存共栄から
一方、都内の商店街の多くは木造密集地区にあり、建物の老朽化が進んでいることから、東京都は再開発などによる建物の不燃化プロジェクトを推進しています。
品川区の武蔵小山駅や大田区の蒲田駅の周辺などでは、商店街の一部を取り込む再開発や共同建て替え事業が進められています。
しかし商業者の利益を守らなければならない商店街と、マンション住民の利益を優先する再開発事業との「共存共栄」が新たな課題となっています。

地域価値を高めるためには商店街の「親しみやすさ」を残しつつも、再開発によって誕生する商業施設の「近代性」と協調していく必要があります。
商店街にも個性が求められる時代
都内の有名な商店街を見ると、浅草、アメ横、谷中、柴又などは観光・インバウンドに特化し、活況を呈してきました。
「おばあちゃんの原宿」の巣鴨、「サブカルとオタク」の秋葉原、「道具街」の合羽(かっぱ)橋、「もんじゃ」の月島、「若者と劇場」の下北沢などは、それぞれが分かりやすいテーマに絞ることで個性を発揮し、近隣だけでなく全国各地や海外からも客を集めています。
また、交通アクセスの良い武蔵小山や蒲田のように、商店街(近隣型商業)と再開発(ショッピングセンター型商業)が一体化したハイブリッド型の商店街も増えています。
しかし、
・どのような人が訪れているのか
・どのような人に立ち寄ってもらいたいのか
・どのように個性を発揮していくのか
といった戦略下できめ細かな対応をしなければ、これからの商店街は生き残っていけません。

都内の商店街を支えてきたのは、商圏人口の多さにあります。しかし生鮮などの最寄り品を除いて、多くの分野で都心の商業地やネット通販に購買機会を奪われています。
また、都心から外れた場所でも、商店街の家賃は高止まり傾向にあり、かつ商店街会費やアーケード使用料などの負担もあるため、有名商店街に出店できるのは賃料負担力のある大手チェーン店などに偏りがちです。
人通りの多い駅前商店街は「通行量」と「売り上げ」が必ずしも直結しないケースがあり、イベントでにぎわっているからといって、売り上げに結びつくとはいえないのが厳しい現実です。
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