若者よ、大志を抱いて東京を目指そう――コロナ禍で「上京しない春」に寄せて

本来なら東京での新たなスタートを切っていたはずの若者たちが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で上京できていない2020年春。あらためて「地方に住む若者にとっての東京」とは何か、ライターの宮野茉莉子さんが考えます。


彼女たちが夢見たのは「特別な未来」だった

「夢見るTOKYO GIRL たくさんのモノが行き交う街で 何気なく見てる風景に なにかもの足りない特別な 未来を指差して求めてる」(Perfume「TOKYO GIRL」)

 日本テレビ系ドラマ『TOKYOタラレバ娘』(2017年1月期放送)の主題歌であるこの曲を知ったのはつい最近のことですが、ここで歌われているのはまさしく「東京を夢見た上京ガール」の胸の内ではないでしょうか。

 数限りない「たくさんのモノ」があふれる東京。それでも「なにかもの足りない」と続く歌詞は非常に示唆に富んでいますが、それはつまり「特別な未来」をどこまでも追い求める飽くなき探求心のことなのだと、上京を心待ちにする当時なら解釈したかもしれません。

 くしくもこの歌詞が言うように、地方の少女が夢見る「東京的なるもの」の多くは、まさしく「モノ」でもありました。

 前述の雑誌「プチセブン」以外には、当時の高校生がこぞって持ち始めていた携帯電話。新しい機種が出たらすぐにチェックして、実際買うわけでもないのにやたら新機能について詳しくなってみたり、とにかく無性に新しい携帯に機種変したくて仕方がなかったり。急速に普及していった携帯は当時、所有者の流行感度を表す重要な小道具のひとつでもありました。

 近所のスーパーで買えるプチプラのコスメグッズ(当時はまだ「プチプラ」という言葉もなかったように思いますが)は、高校生のお財布をあまり痛めず購入できる数少ない「東京的アイテム」。雑誌のモデルたちと同じモノを持てるという満足感から、1本あれば十分なマスカラを2本も3本もポーチに忍ばせていた友人のエピソードは、今となればかわいらしい地方の青春の1ページです。

「特別な未来」を夢見て、東京へのあこがれを日に日に募らせていた地方での毎日(画像:写真AC)

 都内の大学への進学を機に、筆者の上京がかなったのは2000年代前半のこと。東京へ引っ越した初日は、実家を離れる寂しさや不安よりも新しい生活が始まるというワクワク感に満ち満ちていました。「ついに『本当の自分』が始まる」という感慨で、胸がいっぱいになったのを今でも覚えています。

 住んだのはあこがれのインテリアに囲まれたおしゃれマンション……ではなく、同じ大学の学生が多く集まる女子寮。身の丈に合った場所での日々の暮らしや出会いは、地方出身者たちの「東京観」そして「地方観」を大きく変えていくきっかけにもなるのでした。

東京にあって地方に無いもの、またはその逆


【懐かしい!】2017年放送ドラマ『東京タラレバ娘』の吉高・榮倉・大島の3ショットを見る】

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