外出自粛でも「人気喫茶店の味」を楽しめるーー食べて応援「自宅de喫茶店」のススメ

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外出自粛でも「人気喫茶店の味」を楽しめるーー食べて応援「自宅de喫茶店」のススメ

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飯塚めり

喫茶店観察家、イラストレーター

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緊急事態宣言以降の外出自粛が続くなか、都内の喫茶店もテイクアウトを次々と始めています。喫茶店観察家の飯塚めりさんが解説します。

テイクアウトサービスをはじめた喫茶店たち

 家での「おこもり」が推奨されるこの頃です。筆者(飯塚めり。喫茶店観察家)は、日々を明るくほがらかに過ごすための「明かり」として、喫茶店で過ごすことを大事にしていたのですが、現在は、その空間で過ごすこともままならない状況です。

 今回は東京の喫茶店で、喫茶メニューのテイクアウトなどの、喫茶店を家で楽しめる、喫茶店をこの状況の後まで支援できるサービスをはじめたお店たちをご紹介していきます。

 下北沢の「kate coffee(ケイトコーヒー)」(世田谷区北沢)は、モダンでしゃれたカフェ空間に、古き良きコーヒー店の哲学も香る下北沢らしいお店です。名物は2種のカレー。ブックカフェとして楽しむお客さんや、通常時は夜まで開いていたこともあり、バーとして楽しむお客さんもいます。

 そんなケイトコーヒーはこの度、テイクアウトを始めました。

「kate coffee」のテイクアウトメニュー(画像:kate coffee)



 コーヒーメニューの一部やコーヒーシェイク、自家製ジンジャーエール(紅茶割り)のほか、名物のカレーもテイクアウト販売中。カレーとコーヒーという、「ザ・喫茶店」な組み合わせを、自宅で楽しめるのはとてもうれしいですね。

店内メニューのほとんどがテイクアウト可

 阿佐ヶ谷の「gion(ギオン)」(杉並区阿佐谷北)は、あやしく輝くネオンやブランコの座席、生花、造花といったデコラティブな内装と、渋め喫茶店の情緒を両立した、不思議な居心地のよさが魅力のお店。

「gion」のテイクアウトメニュー(画像:gion)

 こちらでは、店内メニューのほとんどがテイクアウト可能ということ。

 看板メニューのナポリタンには、やみつき味のサラダももりもりついて、ボリュームもうれしいです。さらに、gionのアイコン的な存在である、クリームソーダやコーヒーフロートなどのフロートメニューも持ち帰れるということ。事前の連絡を入れることで、待ち時間の省略も可能です。

未来の一杯を注文できる「コーヒーチケット」

 皆さんは、「コーヒーチケット」をご存じでしょうか。喫茶店の先払い制チケットのことで、事前にコーヒー10杯分程度の代金を払ってチケットを購入し、チケット自体はコーヒー11~12杯分つづりになっている、といったもの。愛知や岐阜などでは広く普及していて、全国的にも、昔ながらのコーヒー店や、喫茶チェーンなどで導入されています。

 このコーヒーチケット、使うのはすぐでなくてもよいので、いまのようにお店で滞在する予定がなかなかみえないときにも、お店に貢献できる(そして、出掛けられる日の未来の何杯分かが保証される!)ものとして、現在SNSなどで、飲食店で導入してはどうだろう、という呼びかけが広まっています。

 西荻窪「JUHA(ユハ)」(杉並区西荻南)は、大きめの音楽がしっとり心地よく流れ、ヨーロッパのカフェのような空気感が居心地のよい、文化的なお店。

「JUHA」のコーヒーチケット(画像:JUHA)



 ユハでも、今月からコーヒーチケットが導入開始されました。10枚つづりで5000円。ブレンドが570円なので、700円お得になるということです。使用期限はありません。

オンラインショップで買える

 神保町の「カフェ トロワバグ」は、建築デザイナーの松樹新平さんによる重厚な内装を楽しみつつ、オールドビーンズをネルドリップでいれたコーヒーをいただける大人の地下喫茶店。

 4月中旬より休業に入っていますが、オンラインショップでは、コーヒーチケットが11枚つづり6000円で販売中。

「カフェ トロワバグ」のコーヒーチケット(画像:カフェ トロワバグ)

 チケット1枚で、トロワブレンド、ハイブレンド、アイスコーヒーのいずれかを楽しめます。コーヒー豆も販売しているので、再開の日を楽しみに待つひとときの一杯に、いかがでしょうか。

お店が直接わが家に! コーヒーの宅配サービス

 神保町の「眞踏珈琲店(まふみこーひーてん)」(千代田区神田小川町)は、青山の「蔦珈琲店」(港区南青山)で修業を積まれたマスターが営む、懐かしさと新しさが絶妙に同居するコーヒー店です。通常は年末年始も営業されるお店ですが、現在は休業されています。

 そんな眞踏珈琲店では、23区内限定で宅配サービスを始めました。日にちはお店の公式ツイッターで告知があった日のみですが、デリバリー料金500円、コーヒー(ホットコーヒーまたは水出しコーヒー。水出しコーヒーは自宅の牛乳で割ればカフェオレとしても楽しめます)と各種ケーキがいずれも500円。

「眞踏珈琲店」のデリバリーメニュー(画像:眞踏珈琲店)



 筆者も先日、注文を体験してみましたが、水出しコーヒーの深い味わいと濃厚なベイクドチーズケーキのマリアージュで、自宅にいながら久々のコーヒー店気分に。なんとも不思議な感覚でした。宅配をお願いしたあと、「今日はコーヒー店のおいしいコーヒーとケーキが届くのだ」と思って過ごすだけで、1日がぴりっとしまってわくわくできる、という効果も。

カフェの近隣のお店の商品もデリバリー可

 北品川の旅カフェ「KAIDO books&coffee(カイドウ ブックスアンドコーヒー)」(品川区北品川)も店舗は休業中ですが、テイクアウトとデリバリーサービスがはじまっています。

「KAIDO books&coffee」のデリバリーメニュー(画像:KAIDO books&coffee)

 その名も「KAIDO Eats(カイドウイーツ)」のメニューは、ぶりっぶりのソーセージがおいしいホットドッグ数種のほか、スコーンや水出しコーヒーなど。合計2000円以上を頼むのなら、カイドウ近隣のほかのお店の商品もデリバリーできるそう。

 例えば、高原のようなムードがすてきなカフェ「zakka+cafe La capi(ラ カピ)」(同)の自家製スイーツも選べてしまいます。

 デリバリー対象地域は、北は高輪ゲートウェイ、東は八潮団地、南は立会川、西は大崎~目黒あたり……とのこと。配達料は、配送を頼みたい店舗数に応じて変わります。

自宅にいながら「SNS上で」喫茶店を体験する

 初台と下北沢に店舗がある「fuzkue(フヅクエ)」(渋谷区初台)は、読書に没頭するためのカフェで、現在、店舗での営業は休業されています。

 フヅクエでは、「#自宅フヅクエ」という試みを実施中。12時から22時の「開店時間」に、ツイッター上でこのハッシュタグを付けて、おのおのの読書時間を共有しよう、という試みです。

「fuzkue」のツイッター(画像:fuzkue)



 リアルなお店を味わうことはまだできないけれど、あちこちにいるたくさんのお客さんたちが、それぞれにお店のことを思いながら読書にふける。家でコーヒーをいれたり、サンドイッチをつまんだりすれば、まるでお店にいるかのような……。

 必要なものの買い出しや、お散歩のついでに、喫茶店のテイクアウトはいかがでしょうか。そして、おこもりの日々の食卓やカフェタイムを、ちょっとだけ彩りある、わくわくとしたものにしてみませんか。

 なお、テイクアウトやデリバリー、コーヒーチケット(先払い制チケット)をやっている喫茶店、今後も可能ならばまたご紹介できたら……と考えています。

 喫茶店メニューをその空間で、のどかに楽しめる日がくることを祈る日々です。みなさんもどうかお気をつけて、ご自愛してお過ごしください。

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