都内高級店のテイクアウトに見る、外出自粛と「非接触コミュニケーション時代」の到来

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都内高級店のテイクアウトに見る、外出自粛と「非接触コミュニケーション時代」の到来

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カシハラヒデコ

コピーライター、トレンドウォッチャー

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外出自粛が長引いて、だんだん家庭での自炊がしんどくなってきた今日この頃。こんなときこそ、普段なかなか食べられない超人気店のメニューの味をテイクアウトで楽しむ「ロックダウンメシ」はどうですか、とコピーライターのカシハラヒデコさんが提案します。

今しか味わえない「ロックダウンメシ」とは

 新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言と外出自粛、いわゆる「ロックダウン」も3週間目。備蓄した食材で毎日の食事をいろいろ作っても、そろそろバリエーションがつきてきたと自覚中……。自分の作った料理がパターン化して飽きてきた今日この頃、外出自粛の中での、ひそかな楽しみといえば「ロックダウンメシ」です。

 ロックダウンメシとは、営業自粛中に伴い、時間短縮営業している飲食店で提供されているお持ち帰りメシのこと。いつもは入れないような高級店でも手軽なお持ち帰りメニューがでてきています。

 併せて、お持ち帰りを購入すると自粛で売り上げが減った飲食店の応援になると、自粛中でもできる個人の小さなよろこびにもなっています。

港区麻布十番で不動の人気とされる高級店もテイクアウトを開始。そのお味は?(画像:十番右京)



 メニューは店により、フレンチからイタリアン、すし店まで多種多様ですが、なにより営業自粛期間の限定販売。お店に行くときは、なるべく電話で事前予約して長居しないよう配慮したいところです。

 そんなロックダウンメシ、その中から、今回は東京都内のおすすめ3店をご紹介します。

普段は行きづらい高級店の味を試すチャンス

●十番右京「十番右京弁当」
 十番右京(港区麻布十番)といえば麻布十番で不動の人気を誇る有名店ですが、高級なイメージあり、なかなか足を踏み入れにくかった人も多かったのではないでしょうか。右京では、営業自粛開始後、早くからお持ち帰りをはじめています。

 一番手軽な「十番右京弁当」は大山鶏の唐揚げ、卵たっぷりトリュフポテトサラダ、トロける軟骨ソーキなどが入っていて1980円(税抜き)。そのうえ、梅水晶といぶりがっこが添えられていて、期待通りの味、というより期待以上。ひとつのお弁当に三つも香りの強い食材が入っていて、香ばしさを楽しめるのもいいですね。しっかりお酒が進む味です。

高級食材をたっぷり堪能できる十番右京のお弁当(画像:カシハラヒデコ)



 ビールも添えて、ロックダウンメシをベランダで食べるのもおつ。キャンピングチェアひとつで気軽に気分転換ができるので、もやもや気分もすっきり。ベランダからの小さい空でも十分に心がのびのびできますね。

限定メニューのフルーツサンドに酔いしれる

●果実園新宿店「フルーツサンド」
 昭和の時代からあったフルーツ専門店「果実園」の新宿店(渋谷区代々木)では、ただいま限定お持ち帰りメニューでフルーツサンドを発売中。フルーツ専門店ならではの新鮮なフルーツをたっぷりはさんだフルーツサンドと、オプションで日替わりフルーツジュースがお持ち帰りできます。

 ふくふくのクリームと甘酸っぱいフルーツ、おいしいパンが三位一体となって、まさに禁を破った背徳の味がします。口に含むと、いや、こんなもの自宅で食べてもいいんでしょうか……という気分がいっぱいに。

 フルーツサンドセットにはフルーツサラダとフルーツタルトも入っていて、不足しがちなフルーツをおいしくたくさん食べられるのがうれしいですね。

たっぷりのクリームとフルーツ、おいしいパンが三位一体に!(画像:カシハラヒデコ)



 気持ちが縮こまりがちなこんなときこそ心に余裕を与えるメニューを選びたいもの。フルーツサンドのお値段が750円(税抜き)なのもお手頃でうれしいところです(新宿店のみ販売。目黒店、池袋店は閉鎖中)。

おかみさんが丁寧に出汁を取った上品お総菜

●くりや「お惣菜つめあわせ」 
 知らず知らずのうちに調理ストレスがたまってきた……と感じている人、多いですよね。そんなとき頼みたいのは、くりやのおいしいもの詰め合わせです。

 くりや(新宿区四谷)は四谷3丁目でも知る人ぞ知る日本酒居酒屋。いつも売り切れの人気メニューがこの時期だけお持ち帰りできます。

 一番人気のローストビーフ手作りフキみそ添えや、旬の若竹煮など。おかみさんが丁寧に出汁をとって作った、ワンランク上のお総菜がふんだんに盛り込まれ、ほくほく得した気分に。

 あえて値段は抑え目にしているという品々は、これがどれも実に喜ばしい味。その日のとっておき食材で作られたメニューが詰め合わせでもお持ち帰りできます。

 この日はこの盛りだくさんの詰め合わせで2000円分。総菜はひとつ400円~(税抜き)とお手軽価格なのに、しみじみとうまいものを自宅で味わえます(メニューはその日ごとに変わります。詰め合わせは値段でおまかせ)。

ひと口にお総菜といっても、家庭の味とはまた違った品格を感じる(画像:カシハラヒデコ)



 お店で食べるような味を家庭で食べられて、自粛で縮こまった気持ちをふわっと緩めくれるお持ち帰り、ぜひ試してみたいですね。お持ち帰りやデリバリーをはじめたお店も増えてきているので要チェックです。

新たな集客へ、模索が続くサービス業の現場

 それはさておき今回の新型コロナウイルス感染拡大は、人と人との接触が当たり前だったサービス業のあり方を大きく変え、「非接触によるコミュニケーション」の可能性を考える契機ともなりました。

 飲食店をはじめとする接客業、サービス業といった業種は、コロナ収束以降も見据えた戦略の見直しや方向転換を迫られることになるでしょう。

 デリバリーやお持ち帰りはもちろん、テレビ会議システム「Zoom」を使ったお料理教室の配信や、店主催のZoom飲み会など、「非接触時代」に向けての工夫をこらした対応策がすでに始まっています。

 非接触がコミュニケーションの一形態になった世界の新しい店、思いもよらない方向に発展していくかもしれません。

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