外出自粛を逆手に取って、会社員が自宅ですべき3つの行動「探す」「試す」「洗い出す」とは

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外出自粛を逆手に取って、会社員が自宅ですべき3つの行動「探す」「試す」「洗い出す」とは

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川上敬太郎

しゅふJOB総研所長、ヒトラボ編集長

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新型コロナ感染拡大で、日本全体に自粛ムードが漂っています。しかしそんなときこそ、自分を見つめなおすときかもしれません。しゅふJOB総研所長の川上敬太郎さんが解説します。

新型コロナ感染拡大は「働く主婦」を直撃

 4月7日(火)に政府から緊急事態宣言が出され、東京都でも5月6日(水)まで緊急事態措置を実施することとなりました。都内の感染者数は2300人を超え、全都道府県の中でも圧倒的多数を占めています。

 3月初頭の臨時休校要請から1か月後に緊急事態宣言は出されたわけですが、「もういい加減にしてほしい」という気持ちは全都民共通でしょう。

 いつ終わるとも知れない未知のウイルスとの闘いに、鬱憤(うっぷん)はたまる一方です。外出することもままならず、外に出たら出たで、感染してしまうリスクにも、感染させてしまうリスクにも気を遣わなければなりません。

 そんな中、仕事でも家庭でも課題を抱え板挟みになっているのは、仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦”層です。

ビジネスウーマンのイメージ(画像:写真AC)



 家事や育児は、妻が中心に行っている家庭がまだまだ多いのが実情です。夫が協力的でない限り、臨時休校や保育園の休園、登園自粛などによる負担は妻ひとりにのしかかり、身動きが取れなくなってしまいます。

 仕事面においては、パートやアルバイトなど俗に非正規雇用と呼ばれる働き方の場合、仕事を休まざるを得なかったり、シフトが減ったりして、その分の収入が入らなくなってしまうこともあります。

外出自粛を逆手にとってみよう

 総務省が公表している2019年の労働力調査(詳細集計)によると、全国で非正規の職員・従業員として働く既婚女性は962万人。この中で、子育て負担と収入減のはざまでストレスを感じている人は相当数いるはずです。

 元から在宅勤務だったり、新型コロナウイルス感染拡大によって在宅勤務に切り替えられるようになったりした人は決して多くありません。中には、劇場やカラオケボックスなど、休業要請対象となっている施設に勤めている人もいます。

外出自粛で閑散としたビジネス街のイメージ(画像:写真AC)



 一部では休業手当や雇用調整助成金などを使った補償の話が出ていますが、それらがすべてを解決する訳でもありません。残念ながら「こうすれば大丈夫」と確実に安心できる対策がないのが実情です。

 今後も政府や自治体の施策、会社の方針などにアンテナを張っておくことは重要です。一方で、今だからこそ時間をとって取り組めることについて整理する必要があります。

 コロナ禍の状況下で確実に言えることは、これまでより「自宅にいる時間が増えている」ということです。もし外に出たい気持ちをグッとこらえ、その状況を逆手にとって“生かす”ことができれば、今の状況を「投資期間」と見なして前向きに捉え直すことができるかもしれません。

三つの投資キーワードとは

 今だからこそ時間を投資して考えてみていただきたいテーマのひとつに、自身の「キャリア」があります。キーワードとなるのは、以下三つの“動詞”です。

●探してみる
 求人サイトをのぞいてみると、コロナ禍の中でもたくさんの求人が出ていることがわかります。いま求人を出している企業は、この状況下でも事業運営を継続できていたり、先を見越した準備を進めたりしていることになります。

 生活のために収入を得ることを第一に仕事を選ぶのであれば、厳しい外部環境でも継続して働くことができる職場は魅力的です。中には在宅勤務がしやすい企業などもあります。

 今は自宅にいながら、パソコンやスマホを通して求人検索することができます。色んな求人を眺めてみると、自分の中の新しい可能性に気づいたり、今まで目に留まらなかった求人に興味が湧いたりすることもあります。逆に、改めて今の仕事の良さを再発見することもあるかもしれません。

●試してみる
 これだけ在宅勤務が推奨されていても、実際には対応できていないケースの方が多いのが実情です。しかし時代は、在宅勤務やリモートワークがさらに進む方向に追い風が吹いています。今の職場はもちろん、転職した際にも在宅で働く機会が増える可能性は十分にあり得ます。

 そのために今のうちから、「ズーム」「スカイプ」といった在宅勤務で利用するビデオ通話ソフトを試しておくと、いざというときのための準備になります。Eメールやワード/エクセルなどのツールも、家庭で使っている人は使ったことがない人に比べて抵抗感がなく、職場でも比較的スムーズに使えるのと同じです。

ビデオ通話ソフト利用のイメージ(画像:写真AC)



●洗い出してみる
 日常の中で自分自身のキャリアを振り返り、「棚卸し」する機会はなかなかありません。転職活動のときは現職の業務をこなしながら、仕事探しする合間でこれまでのキャリアを棚卸しすることになります。結局じっくり取り組むというよりは、慌ただしく思い出せるだけ過去の経歴を思い出してなんとか職歴を羅列する、という感じになりがちです。

 しかし本来であれば、過去に経験した業務をできる限り細かく洗い出し、それぞれの取り組みの中で目標として掲げていたこと、その目標達成に向けて工夫したこと、最終的に出された成果などをまとめ直す作業が必要です。

 今、もし家の中で時間がとれる状況にあれば、ぜひ過去のキャリアの洗い出しに取り組むのもよいでしょう。

今できることに取り組もう

 上記三つはキャリアをテーマにしていますが、他にも子どもと一緒に過ごす時間をより有意義なものにしたり、夫とゆっくり話す時間を楽しんだりと、外出自粛しなければならない状況だからこそ取り組めるテーマを探してみるのもよいでしょう。

 家族みんなで話し合い、アイデアを出しあってみるのも有効かもしれません。

 新型コロナウイルスとの闘いは、苦しいことや悲しいことだらけです。

 しかし、必ず終息するときはやってきます。今できることを発見して取り組んでおくことは、そのときに向けた準備であり、未来への投資になるはずです。

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