荻野目洋子『六本木純情派』――80年代に大衆化した繁華街を歌う「六本木歌謡」 港区【連載】ベストヒット23区(16)

人にはみな、記憶に残る思い出の曲がそれぞれあるというもの。そんな曲の中で、東京23区にまつわるヒット曲を音楽評論家のスージー鈴木さんが紹介します。


「六本木歌謡」の当たり年は1984年

 そして1980年代、六本木は大衆化します。居酒屋など大衆的な店舗が増えたことに加え、「大衆」自体が経済的に豊かになったことも一因でしょう。BMWが六本木の街でやたら目立つようになり「六本木カローラ」と呼ばれたのもこの頃。

「六本木歌謡」の当たり年は1984(昭和59)年。それも秋。まずは皆さんご存じのアン・ルイス『六本木心中』。1984年10月5日の発売。伊藤銀次によるハードロックなアレンジと(印象的なギターソロは北島健二)、湯川れい子による、意外に古風な女性を描いた歌詞との「段差」がヒットの要因と思われます。

アン・ルイス『六本木心中』(画像:VICTOR ENTERTAINMENT,INC.、(P)(C)WATANABE MUSIC PUBLISHING CO.,LTD.)

 歌詞のパンチライン(= 強いフレーズ)をひとつ挙げれば「♪あなたなしでは生きてゆけぬ」。「あなた」にすがる、いじましい女性像もさることながら、最後の助動詞「ぬ」の古風さはどうでしょう。「ゆけない」ではなく「ゆけぬ」。これはもう金色夜叉(やしゃ)・貫一お宮の世界です。

ビートたけしが愛した『六本木ララバイ』

 その約1か月後、11月1日にリリースされたのが、内藤やす子『六本木ララバイ』。作詞と作曲を手掛けたのは、ギター漫談のエド山口(作曲は岡田史郎との連名)。

内藤やす子『六本木ララバイ』。当時のレーベルは日本フォノグラム(画像:ユニバーサルミュージック合同会社)

 ともに30万枚以上売り上げた内藤やす子のヒット曲『弟よ』(1975年)や『想い出ぼろぼろ』(1976年)に比べると『六本木ララバイ』の5.8万枚は物足りませんが、カラオケの場で歌い継がれて、広く親しまれる曲となりました。あのビートたけしが愛した曲としても有名です。

 こちらのパンチラインは、何といっても「♪東京の夜明けに歌う子守歌」。この感じは「キャンティ」に一度だけ入って足がすくんだ私にもよく分かります。90年代に入ってからですが、飲み疲れ、踊り疲れた美女たちがフラフラと歩く夜明けの六本木をよく見つめたものです。ロアビル脇のラーメン屋「天下一品」から。

「純情派」からの変化を描いた曲


【地図】意外と覚えてない? 港区「六本木」の場所を確認する

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